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車載用HMIデバイスの改良が安全な運転を支援福田昭のデバイス通信(255) 2019年度版実装技術ロードマップ(63)(2/2 ページ)

今回は、運転操作の品質を低下させないように、あるいは品質を向上させるように工夫した車載用HMIデバイスの一つとして「ステアリング・スイッチ」を紹介する。

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ステアリングの多機能化が進む

 運転の品質を最も大きく左右する操作は、ステアリング(ハンドル)である。安全という観点からは、ステアリングは常に両手で把持していることが望ましい。そこで最近では、ステアリングに運転操作系と快適・利便操作系のスイッチを搭載する動きが活発である。このようなスイッチを「ステアリング・スイッチ」と呼ぶ。

 ステアリングの中央(ハブ)からは、左右にスポークが伸びている。このスポークにスイッチを搭載し、親指でスイッチを操作する。例えば右のスポークには運転操作系のスイッチ、左のスポークには快適・利便操作系のスイッチを搭載することで、運転者にとって操作を容易にしている。

 さらに従来はトンネルコンソールに搭載していたギアのシフトレバーを、ステアリングに搭載することで運転の品質を高めた乗用車が登場している。スポークの左右裏面にリムに沿って配置した2つのパドル型スイッチ(「シフト・パドル」と呼ぶ)を手指で操作することで、ドライブモード(オートマチックモードとマニュアルモード)を切り替えるとともに、マニュアルモードでの変速操作(ギアチェンジ)を実行する。


ステアリング・スイッチの例。メルセデス・ベンツが2016年に発表したEクラスのステアリング・スイッチ。スワイプ操作と押し込み動作によって入力するコマンドを決定する。出典:メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)の2020年5月6日付ニュースリリース

 ステアリング・スイッチの弱点は、スイッチを搭載可能なスペースが狭いことだ。全ての操作系スイッチをステアリングに載せることは難しい。そこでトンネルコンソールに快適・利便操作系の集中制御スイッチを搭載し、ディスプレイと連携して操作するGUIタイプの車載HMIデバイスが開発され、実用化されている。また最近はスマートフォンの静電容量タッチセンサーが普及していることから、集中制御スイッチにも静電容量タッチセンサーを採用した事例が出てきた。


車載HMIデバイスの例。左上はステアリング・スイッチの例(トヨタ自動車のレクサスHS250h)。中央上はステアリング・スイッチに静電容量タッチセンサーを採用した例(メルセデス・ベンツの2016年Eクラス)、右上と左下はトンネルコンソールにスイッチを配置した例。中央下と右下はトンネルコンソールに静電容量タッチセンサーを配置した例。出典:JEITA(クリックで拡大)

次回に続く

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