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ESS・定置用二次電池、2035年に2兆4800億円規模へ富士経済が蓄電用の市場を調査

ESS・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場は、2035年に2兆4829億円となり、2019年に比べ2.3倍の市場規模となる。富士経済が予測した。

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再生可能エネルギーの普及などで拡大基調続く

 富士経済は2020年7月、ESS(電力貯蔵システム)・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場について調査し、その結果を発表した。2035年は2兆4829億円と予測、2019年に比べ2.3倍の市場規模となる。

 今回の調査は、「住宅用」や「業務・産業用」「系統・再エネ併設用」など、ESS・定置用蓄電システム向け二次電池を対象とした。具体的には、鉛電池(Pb)やリチウムイオン電池(LiB)、ニッケル水素電池(NiMH)、NaS電池などである。また、「中・大容量UPS」や「無線基地局用バックアップ電源」などの蓄電システムも調べた。調査期間は2020年3〜6月。

 調査によると、ESS・定置用蓄電システム向け二次電池の市場は、「再生可能エネルギーの普及拡大」や「導入補助政策の整備」「大規模な実証事業」などによって市場が拡大している。この結果、2019年は1兆733億円となった。2018年に比べ14.3%の増加である。2035年に向けても、LiBの需要増加などにより、拡大基調は続くと予測した。

 用途別では、系統・再エネ併設用蓄電システム向けが2019年の4646億円に対し、2035年は1兆2381億円の市場規模になると予測した。中でも、系統設置向け需要に期待する。VPP(Virtual Power Plant)やDR(Demand Response)といったエネルギーサービスの一環として併設が進むからだ。

 住宅用蓄電システム向けは、PV電力の自家消費や自然災害、大規模停電への備えを目的とした導入が増えるとみている。この結果、2019年の1226億円に対し、2035年は3673億円と予測した。業務・産業用蓄電システム向け需要も堅調で、2019年の1362億円に対し、2035年は3378億円規模の見通しである。


ESS・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場予測(その他に含まれる100V系直流電源装置と鉄道用電力貯蔵システムは日本市場のみ) 出典:富士経済

注目市場は「住宅用」と「業務・産業用」

 同社は、今後の注目市場として、「住宅用蓄電システム向け二次電池」と「業務・産業用蓄電システム向け二次電池」を挙げた。住宅用蓄電システム向けには、戸建て住宅や集合住宅向けに加え、蓄電池付きEV・PHV用充電器や蓄電池付きV2Hシステムが含まれる。搭載される電池は主にLiBで、自動車などへの実装がさらに増えれば、低価格化が一段と進む可能性が高い。

 業務・産業用蓄電システムは、商用電源や発電機と連係した「ピークカットやピークシフト」、災害などの非常時における「非常用電源」および、自家消費用で「再生可能エネルギーの負荷平準化」などを導入の目的とする。

 特に、100kWh未満の蓄電システムは、北米を中心に、デマンドチャージ対策のピークカット用途で導入が進む。一方、100kWh以上の蓄電システムは、PVと連係したピークカットやピークシフトなどの用途が中心である。VPPやDR、インバランス補償サービスなどのエネルギーサービス用電源としての利用が注目されている。

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