日本電産、売り上げ減でも営業増益、利益率も8.3%に:「UFF」は過去最大の出荷台数(2/2 ページ)
日本電産は2020年7月21日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜7月)の決算説明会を行った。売上高は前年同期比6.6%減の3368億円だった一方、独自の収益構造改善策「WPR4プロジェクト」による原価改善などによって営業利益は同1.7%増の281億円、営業利益率も同0.6ポイント増の8.3%に向上した。日本電産 代表取締役会長兼CEO、永守重信氏は、「営業利益281億円のうち100億円はWPR4によるものだ。Q2以降もさらに改善が進むと自信を持っている」と語っている。
UFFはテレワーク需要で過去最高の出荷台数を記録
そのほか製品グループ別でみると、「精密小型モーター」は売上高が前年同期比3.3%減の1044億円となった一方で、徹底的な原価改善などによって営業利益は同36.1%増の142億円となった。前四半期比では売上高150億円増という結果であり、永守氏は、「過去に投資してきた新製品開発がやっと実り始めた。特に5G(第5世代移動通信)関連のモーターやファンが非常に好調に推移している」と説明。超薄型、超小型ファンモーター「UltraFlo FDB(UFF)」については、テレワーク需要などを要因に、2020年第1四半期の出荷台数が500万台以上と「過去最高」の出荷台数を記録したことを明かした。
このほか、「家電・商業・産用」の売上高は、エンブラコ買収の影響があり前年同期比1.7%増の1250億円、営業利益も原価改善および固定費適正化などで同3.4%増の89億円となった。こちらも前四半期と比べると売上高は減少しておりCOVID-19の影響からは「未だ回復途上」としているが、コスト構造の抜本的な見直しから収益性については反転の兆しを見せている。「機器装置」についても売上高は同6.2%減の357億円となったが、営業利益は同16.5%増の61億円となった。
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