日本電産、オムロン子会社買収で車載モーター強化:譲渡額は1000億円の見込み
日本電産は2019年4月16日、オムロンの子会社で、車載電装部品を手掛けるオムロンオートモーティブエレクトロニクス(以下、OAE)を買収すると、発表した。買収価格は約1000億円となる見込みで、2019年10月末ごろの取引完了を予定している。同日、東京都内行われた記者会見で、日本電産の会長兼CEOの永守重信氏は、「モジュールやプラットフォームでの製品納入の需要が高まっている。こうしたマーケットの変化に対応する必要がある」と説明したうえで、「OAEのグループ化は非常に大きなシナジーを生み出す」と強調した。
日本電産は2019年4月16日、オムロンの子会社で、車載電装部品を手掛けるオムロンオートモーティブエレクトロニクス(以下、OAE)を買収すると、発表した。買収価格は約1000億円となる見込みで、2019年10月末ごろの取引完了を予定している。同日、東京都内で行われた記者会見で、日本電産の会長兼CEOの永守重信氏は、「モジュールやプラットフォームでの製品納入の需要が高まっている。こうしたマーケットの変化に対応する必要がある」と説明したうえで、「OAEのグループ化は非常に大きなシナジーを生み出す」と強調した。
相乗効果で新たな製品生み出す
OAEは、愛知県小牧市に本社を置くオムロンの完全子会社で、車載用エレクトロニクス製品の開発、製造販売を行う。特に、ボディー制御システムやモーター制御用ECU(電子制御ユニット)、電源制御の領域で強みを持つ。2018年3月期の連結売上高は1331億円で、従業員数はグループ全体で5651人(2018年9月現在)。
日本電産は、車載用モーター事業を主要戦略事業の1つと位置付けており、今回の買収によって、自社モーターやポンプ、ギアなどとOAEのECUをはじめとした各種エレクトロニクス製品を組み合わせた新たなモジュール製品、システム製品を生み出し、事業を強化していくという。
日本電産は、すでに車載ECUを扱う日本電産エレシスを子会社に持っているが、「OAEとは先進運転支援システム(ADAS)領域で補完関係にありシナジーは非常に大きい」と説明。日本電産エレシスは電波レーダーおよび、カメラ関係製品に強みを持ち、OAEはレーザーレーダーおよび、ドライバーモニターシステム関係製品に強みを持つことから、「両社の製品群を足し合わせることで将来の自動運転に向けたセンサー製品群がほぼそろう形になる」としている。
高まるモジュール化需要に対応
会見では、永守氏が、車載用モーター事業を主要戦略事業としていることを示したうえで、モジュールやプラットフォームでの製品納入の需要が高まっていることに言及。「特に中国企業からは、トン、と車に乗せれば電気自動車ができるものを持ってきてくれといわれる」と話し、「本来はTier1メーカーなどが(モジュールでの製品納入を)行っていたがそんな時代ではなくなってきた。これからの時間軸の速さ、コスト競争という点からいっても大きな変革が必要。技術革新だけではなく、サプライチェーンも大きく変化していく」と説明した。
永守氏はOAEについて「(モジュール化、プラットフォーム化の需要の高まる中で)われわれに一番足りなかった制御技術を持っている。モーター制御など、制御の分野の専門メーカーであり、非常に優秀なエンジニアを有している」と評価。「日本電産はこれまで、ECUを外注して、モーターに取り付け販売してきたが、ECUの付加価値は高くなってきており、自社に取り込んでいかなければ、世界で競争に勝てない」と説明した。
永守氏はさらに、「すでに2028年まで受注が積み上がっており、エンジニアの不足など、キャパシティー不足になっていた」とも話し、「われわれも人員増強や育成はしているが、今回、OAEをグループ化することで、500〜600人のエンジニアを一挙に手に入れることができる。非常にシナジーが大きくなる。また、海外の拠点も重なっておらず、補完し合いながら非常に強いネットワークが形成できる」とグループ化の意義を強調した。
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