Intelの7nm大幅遅延、AMDはシェア拡大へ:Intelはアウトソーシング拡大か(2/2 ページ)
Intelは2020年7月下旬、同社の技術ロードマップにさらなる遅れが生じる見込みであることを明かした。このことから、EE Timesが先日報じたように、AMDが今後、Intelの市場シェアを奪い取っていくのではないかと考えられる。
アウトソーシング拡大、決断を迫られるIntel
Intelは先日、今後TSMCなどのファウンドリーへの製造アウトソーシングを拡大していく可能性があることを明かした。Intelはこれまで、旧世代技術を適用したチップの製造をTSMCに委託してきたが、10nm以下の最先端プロセスを適用した製造でファウンドリーを使用するのは、初めてのことだろう。
2019年1月にIntelのCEOに就任したBob Swan氏は7月下旬、四半期業績の発表に続いて行ったカンファレンスコールの中で、同社が今後ファウンドリーへのアウトソーシングを拡大していくのかどうかについて、かなり曖昧なコメントをした。
同氏は、「これまでと異なるのは、われわれがこの件についてかなり現実的に考えようとしているという点だ。例えば、いつ頃をメドに社内または社外で製造を行うべきなのか、また、社内と社外とをうまく組み合わせて製造するという選択肢を確保しておくべきなのか、それとも全てそのままアウトソーシングするのか、といったことが挙げられる」と述べていた。
Krewell氏は、「AMDは数年前に、自社の半導体工場を全て売却してファブレスメーカーになったが、IntelがAMDのような方法で全ての製造をアウトソーシングする可能性は低いだろう。Intelが決断しなければならないのは、同社が製造企業なのか、それとも製品企業なのか、という点だ。またはその両方を混ぜ合わせることも可能である」と述べている。
同氏は、「どの新しいプロセス技術にも課題は残っているが、選択を誤ると、数カ月から数年間の遅れが生じる恐れがある。最先端プロセスを頼みの綱にしている半導体メーカーは全て不測の事態に備えた対応策を用意する必要がある。どのメーカーも、それを免れることはできない。Intelは将来的に、さまざまなファウンドリーが製造したチップをパッケージ上で組み合わせることが可能な、柔軟性に優れた構成を採用するのではないだろうか」と述べる。
活力失いつつある米国半導体業界
Intelが現在つまずいているのは、『米国の半導体業界が活力を失いつつある』ということを示す、もう1つの兆候だといえる。
米国ハーバード・ビジネススクールの教授であるWilly Shih氏は、Forbes誌に掲載された2020年7月26日付の記事の中で、「Intelが製造をアウトソーシングするという計画は、米国に警鐘を鳴らしているといえる」と述べている。
「Intelがプロセッサ市場でAMDに押されているのは、AMDの製品がTSMCの製造による素晴らしい設計を実現しているからだ。IntelがAMDに追い付くために採用できる唯一の方法が、TSMCだ。このため、Intelは今後、TSMCへのアウトソーシングに対する圧力を強く受けるようになるだろう(Intelは既に、TSMCの重要顧客の中の1社として位置付けられている)」(同氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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