RISC-V International CTOに聞く「課題や地政学的影響」:本拠地はスイスに移転(3/3 ページ)
RISC-Vコミュニティーメンバー組織であるRISC-V Internationalは2020年8月3日、旧組織であるRISC-V Foundationからの移行に伴い、スイスに拠点を置く新しい法人組織の取締役メンバーを16人任命したと発表した。RISC-V Internationalは2020年6月にも、Mark Himelstein氏のCTO(最高技術責任者)就任を発表している。米国EE Timesは同年7月に、同氏にオンラインインタビューを行い、同氏の担っている役割や、RISC-Vの幅広い普及実現に向けた課題、地政学的な影響などについて話を聞いた。
地政学的な問題による影響は?
EE Times RISC-V Internationalはスイスに本拠地を構えたが、地政学的な課題についてどう考えているのか。
Himelstein氏 これは、1990年代の輸出規制と何ら変わりがない。当時もかなり厳しい規制だった。私がSolarisを手掛けていたころ、われわれは基本的にPKI(Public Key Infrastructure)をオープンソース化していたので、中国にセキュリティ技術を販売することができた。プロプライエタリなOSの一部としては、もちろん不可だったが、オープンソースの一部としては可能だった。
時間が経てば、全てにおいて妥協点を見つけてビジネスの仕方などを見いだせるようになるのではないか。実は、RISC-Vに関しては、どの国からも、どの参加者からも攻撃的な姿勢は見られない。むしろ、コミュニティーを盛り上げようとしている。RISC-Vは全てオープンなので何も隠しているわけではないし、LinuxやHadoopと同じように、中国やパキスタン、その他の場所にユーザーがいるが、もちろん問題はない。
現在、明らかに地政学的な影響があり、それは1980年代や1990年代以降に比べて厳しくなっている。われわれはそれを尊重し、どの国の規制にも違反しないように留意しなくてはならない。
われわれが本拠地をスイスに移したのは、スイスが中立的な場所だからだ。それだけで人々に安心感を与えられる。現在、米国でのビジネスをやめるようなことは何もないが、スイスに拠点を構えることでメンバーは安心している。われわれが前進しても、変化にさらされることが少なくなるだろう。スイスへの本拠地移転はメンバーに受け入れられているが、RISC-V Internationalが世界的な組織であることは変わりなく、あらゆるメンバーが貢献している。スイスに移転したからといって、われわれのやり方が変わるわけではない。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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