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LV100タイプ採用の産業用IGBTモジュールを発売:電源の小型低消費電力化を可能に
三菱電機は、パワー半導体の新製品として、LV100タイプパッケージを採用した産業機器向けIGBTモジュール「Tシリーズ」を開発、2020年9月から順次発売する。
電流密度は最大クラスの17.14A/cm2を実現
三菱電機は2020年8月、パワー半導体の新製品として、LV100タイプパッケージを採用した産業機器向けIGBTモジュール「Tシリーズ」を開発、2020年9月から順次発売すると発表した。
新製品は、定格電圧が1200Vで定格電流が800Aの「CM800DW-24T」や、同様に1700Vで1200Aの「CM1200DW-34T」など5品種を用意した。絶縁耐圧は4kVrmsである。パッケージは外形寸法が100×140×40mmの「LV100タイプ」を採用した。これは、鉄道や電力用途で用いられている汎用性の高い共通外形パッケージで、高い電流密度を実現できるのが特長。これを産業用途向けに最適化した。
新製品は、キャリア蓄積効果を利用した独自のCSTBT構造による第7世代IGBTとRFC(Relaxed Field of Cathode)ダイオードを搭載し、電力損失を低減した。また、パッケージ構造の最適化により、電流密度は大容量IGBTモジュールとして最大クラスの17.14A/cm2を実現。インバーターなどの電力変換装置やモーター駆動装置の小型化、低消費電力化を可能にした。
サンプル価格(税別)は、CM800DW-24Tが4万6000円、CM1200DW-34Tが6万8000円などとなっている。
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