ハードウェアトロイ検知研究も支えるキーサイト独自技術:10MSa/sで最大100時間記録、独自MLで高速分類(3/3 ページ)
電子デバイスに不正な挙動をさせる回路「ハードウェアトロイ」の脅威はIoT(モノのインターネット)の拡大につれて高まっている。このハードウェアトロイ検知研究にキーサイト・テクノロジーのデバイス電流波形アナライザー「CX3300」に搭載される「データロガーモード」が一役買っているという。今回、同社の担当者にその詳細を聞いた。
『従来概念を覆す技術』として、広い分野で活用広がる
もちろん、この異常波形解析機能を含むデータロガーモードは、ハードウェアトロイ検出技術への貢献だけでなく、さまざまな活用の場がある。各種IoTデバイスのほか、車載やペースメーカーなどの医療領域などを中心に信頼性への要求は高まっており、手作業の解析では不可能な間欠的な異常信号やイベントの特定、解析を高速で実現するこのソリューションは有効だ。
例えばIoTデバイスでは、マイクロアンペア以下のスリープモードで過ごす時間が大半で、わずかな間だけ数ミリから数十ミリアンペアレベルのアクティブモードで動作するため、広いダイナミックレンジ対応と長時間かつ高速な計測が必要となる。この計測は従来のオシロスコープやデジタルマルチメーター(DMM)などでは対応ができなかったという(下図)。担当者は、「この機能を使えば、長時間のデータを細かなフィーチャーまで取りこぼしなく取得し、リアルタイムに分類できる。従来概念を覆す技術だ」と話していた。
データロガーモードはこのほか、スマートフォン向けSoC(System on Chip)メーカーが、チャンバー内の温度を変化させ異常が発生するかなどを長時間テストする際に用いたり、ソフトウェア開発側が、開発したソフトウェアを動作させたマイコンを計測、消費電流からバグなどを発見したりと、幅広い活用が進んでいるという。
担当者はさらに、「従来、オシロスコープを用いた測定の場合、ユーザーは数時間にわたる測定の間、常にその場で確認し続ける必要があった。この装置は自動で分類まで実現することから、例えば週末に無人で測定を続け、週明けにその結果を確認するといった対応が可能になる。この特長は、コロナ禍で増加する無人でのニーズにも生かせている」とも説明していた。
このソリューションの価格は455万円から。ソリューション構成は、エントリーモデルであるCX3322Aの場合、最小構成(対応周波数帯域幅50MHz、メモリ容量4メガポイント/チャネル)で280万円から、電流センサーは65万円から。異常波形解析機能を含むデータロガーモードオプションは110万円から(CX3322Aの場合)。またPC上で動作する解析ソフトウエア(CX3300APPC)は30万円(永久ライセンスの場合)となっている。
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