絶縁塗装済み圧粉磁心で部材コストの節減も
住友電気工業は2020年9月、アキシャルギャップモーター用の圧粉磁心を開発し、量産出荷を始めたと発表した。
アキシャルギャップモーターは、回転軸の垂直方向に円板状の固定子と回転子を、重ねて配置した構造となっている。一般的なラジアルギャップモーターに比べ、薄型軽量化しても、高い出力や効率を維持できるモーターである。ただ、これを実現するには三次元磁気回路に適合した磁心が必要になるという。
そこで同社は、独自の粉末冶金技術を活用して、アキシャルギャップモーター向け圧粉磁心を新たに開発した。圧粉磁心とは、金型プレスによって軟磁性鉄粉を三次元形状とした磁心である。従来のラジアルギャップモーターに用いられる電磁鋼板と比べ、形状の自由度や高周波特性に優れている。
併せて、絶縁塗装技術も開発した。これにより、絶縁塗装済みの圧粉磁心を供給することが可能となった。これまでは、圧粉磁心と銅巻線との耐絶縁を確保するための部品を、別途用意するのが一般的であった。新製品を用いると圧粉磁心に銅巻線を直接巻くことが可能となり、部材コストや組み立てコストの節減にもつながるとみている。
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