車載ECUの世界市場、2030年に17兆1822億円へ:富士キメラ総研が予測
富士キメラ総研によると、xEVの普及や自動運転車の増加などにより、2030年の車載ECU市場は17兆1822億円規模になると予測した。
xEVの普及や自動運転車の増加などが需要をけん引
富士キメラ総研は2020年4月、車載ECU(Electronic Control Unit)の世界市場を調査し、2030年までの市場予測を発表した。xEVの普及や自動運転車の増加などにより、2030年の車載ECU市場は17兆1822億円規模と予測した。
調査した車載ECUは、「パワートレイン系」や「HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系」「走行安全系」「ボディー系」「情報通信系」および、「スマートセンサー/アクチュエーター」に大別し、国・地域別にまとめて分析した。同時にこれらを構成するセンサーや半導体、回路部品など29品目のデバイス市場についてもまとめた。調査は2019年11月〜2020年1月に行った。
調査結果によると、ECUの世界市場は2019年見込みが9兆5471億円である。自動車の生産台数が減少したこともあり、2018年に比べて4.0%の増加にとどまった。2030年には2018年比1.87倍の市場規模になると予測した。
用途別にみると、2019年はHV/PHV/EV/FCV系が大きく成長し、情報通信系とスマートセンサー/アクチュエーターも前年に比べ10%台の伸びとなった。逆にボディー系とパワートレイン系は前年実績を下回った。2030年に向けては、HV/PHV/EV/FCV系とスマートセンサー/アクチュエーターのECU市場が大きく伸びると予測している。
注目の3市場
こうした中で富士キメラ総研は、「スマートセンサー/アクチュエーター」と「HV/PHV/EV/FCV系」および、「ワイヤハーネス」の3分野を、今後の注目市場として挙げた。
スマートセンサー/アクチュエーター向けECU市場で期待するのは、自動運転で重要な役割を果たす「センサーモジュール」と「アクチュエーターモジュール」である。一例として、センシングカメラやレーダーセンサー、LiDARなどを挙げた。地域別では、北米やEU市場が需要をけん引しているが、将来は中国が最大需要地になると予測する。
HV/PHV/EV/FCV系のECUとしては、「モーター駆動ECU」や「インバーターECU」「バッテリー監視ECU」「DC-DCコンバーターECU」「チャージECU」などがある。短中期的にはマイルドHVシステムに向けたDC-DCコンバーターECUやバッテリー監視ECUの需要増に期待する。長期的にはECUの統合が進み、新たな製品も登場する。一例として、DC-DCコンバーターECUとインバーターモジュールなどを一体化させたPCU(パワーコントロールユニット)を挙げた。
ワイヤハーネスは、ECUとセンサーモジュールやアクチュエーターを接続するための部品である。電動化や電装化の進展により、車両1台当たりの搭載量は増加するという。市場規模は、2019年見込みの5兆4418億円に対し、2030年は5兆3484億円となり、市場規模は縮小すると予測した。数量ベースでは拡大基調にあるが、価格競争の激化などが大きな要因と分析する。
今後は軽量化に向け、芯材はこれまでの銅や銅合金に替えて、アルミ合金を採用するケースが増加する見通しだ。また、xEVにおいてインバーターモジュールと駆動用モーターなどを一体化した「電動アクスル」の採用が拡大する予測もあり、この場合はワイヤハーネスの需要が減少する可能性もあるという。
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