TDKが大容量の車載用MLCCを発表、従来比2倍:2012サイズ/3216サイズ
TDKは2020年9月29日、車載用積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CGA」シリーズの新製品として、2012サイズ(2.0×1.25×1.25mm)で22μF/定格6.3V、3216サイズ(3.2×1.6×1.6mm)で47μF/定格4Vという大容量を実現した2品種を発表した。いずれも既に量産を開始している。ECU(電子制御ユニット)の電源ラインの平滑およびデカップリングの用途に向ける。
TDKは2020年9月29日、車載用積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CGA」シリーズの新製品として、2012サイズ(2.0×1.25×1.25mm)で22μF/定格6.3V、3216サイズ(3.2×1.6×1.6mm)で47μF/定格4Vという大容量を実現した2品種を発表した。「業界で最高水準の静電容量」(TDK)とする。いずれも既に量産を開始している。ECU(電子制御ユニット)の電源ラインの平滑およびデカップリングの用途に向ける。
新しい2製品は、同じサイズで従来品の2倍の静電容量を実現したことが最大の特長だ。TDKは、「大容量化には、誘電体の誘電率を上げることや、MLCC内部に積層されている電極間の距離を小さくすること、電極の積層数を増やすことなどが効いてくる。新製品では、誘電率が高く、薄層化しやすい、つまり電極間距離を小さくしやすい材料を用いることで、従来の2倍の静電容量を実現した」と説明する。これにより、例えば、従来品であれば2個必要だったMLCCが1個で済むようになり、部品点数を削減できる。
静電容量が大きくなったことで、同じサイズの従来品に比べてインピーダンスが減少した。インピーダンスの低減により電圧の変動が抑えられるので、ノイズが減り、ICが誤作動するリスクを低減できる。
インピーダンスを低減する方法として、MLCCの並列実装がある。並列実装するMLCCの数を増やす、つまりトータルの静電容量を増やすことでインピーダンスを低減する方法だが、基板サイズや実装面積を考えると難しい。大容量の新製品を用いることで、並列実装しなくても(あるいは並列実装する数を減らしても)インピーダンスの低減を図れるようになる。
2012品、3216品とも、AEC-Q200に準拠している。「高誘電率かつ薄層化しやすい材料を使うだけでなく、電極間の距離を小さくして積層しても高い信頼性を維持できるプロセスのノウハウを、われわれは持っている」(TDK)
新製品のサンプル単価は、2012品(CGA4J1X7T0J226M)が25円、3216品(CGA5L1X7T0G476M)が50円。まずは月産100万個の規模で量産する。
TDKは、「ADAS(先進運転支援システム)はますます重要になり、その制御のためにICが高機能化していることもあり、ノイズ対策として、より多くの平滑、デカップリング用MLCCが使われるようになっている。MLCCの小型化と大容量化への要求は高まっている」と語った。
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