5GやエッジAIで進化する産業オートメーションがテーマ:「Boards&Solutions」(2/2 ページ)
産業オートメーションやスマートシティー、エッジコンピューティングをテーマとしたカンファレンス「Boards and Solutions 2020」が、2020年10月13〜14日にオンラインで開催される。オープニングでは、ArmのIoT部門でバイスプレジデントを務めるJohn Heinlein氏が、産業オートメーションにおけるイノベーションが、OT(運用/制御技術)とITの融合や、クラウド to エッジ向けのソフトウェア実装などによって加速しているというトレンドを取り上げる。
産業オートメーションに欠かせない5G
5G(第5世代移動通信)時代では、製造業界におけるデジタル変革が加速し、ローカル5Gの導入も本格的に進んでいくとみられる。これにより、ロボットの遠隔制御や、高解像度の画像処理/分析、リアルタイム/タイムスタンプネットワークなどの他、AIを介した故障予測/検知といった機能に対する新たな需要が生まれるだろう。
産業オートメーションのアプリケーションにおいて5G技術を実現し、5G時代の中でIIoTイノベーションを成功させるためには、TSN(Time-Sensitive Networking)や組み込みAI、サイバー攻撃に対するセキュリティ、機能的安全性などの基本的なデバイス技術が必要不可欠である。
ADLINK Technologyのモジュール事業でプロダクトマネジャーを務めるCarsten Rebmann氏は、科学技術を適用して開発期間を短縮することをテーマに、講演する。革新的な機能や普遍的なユーザビリティ、より迅速な応答などを実現可能な優れた新製品に関する需要は、常に存在する。
エッジ機能の追加やセキュリティ要件の改善、新しい装置やシステムの開発に伴い、設計はますます複雑になっている。その中で、どのように品質と性能を向上しつつ、短期間で製品を市場に投入し続けることができるのだろうか。答えの一つは、HAL(ハードウェア抽象化レイヤー)を実装したハードウェアから事前にプログラムされたAPI(Application Programming Interface)まで、適切なビルディングブロックを用いるという、モジュールのコンセプトを採用して製品を開発することだ。Rebmann氏は、それをテーマに講演する。
5Gの登場によって、現在の3Gおよび4Gアプリケーションの改善が可能になるだけでなく、産業用制御アプリケーションで初めて、信頼性と性能を損なわずにワイヤレス技術を効果的に使用できるようになる。新しいプロトコルは、5Gをベースにしたビデオ監視システムや協働ロボットの開発など、コネクテッドファクトリーパラダイムに向けた革新をさらに加速させる。
セキュリティをどう確保するか
近年、コンピュータとインターネットのつながりははるかに高くなり、工場のセキュリティ範囲は会社全体、さらにはパートナー企業にまで拡大されつつある。産業用サイバーセキュリティは、産業システムにおけるアップデートの滞りや旧世代のソフトウェアや技術の使用によって工場の脆弱性が高まり、サイバー犯罪の危険にさらされる可能性がある場合に発動される。
最近の市場レポートによると、都市部で使用されるコネクテッドデバイスは、今後数年で約13億台に達する見通しだという。監視カメラや水質/空気センサー、スマート街灯、交通管理システム、駐車場システム、輸送オートメーションシステムなど、コネクテッドデバイスの種類は多岐に及ぶ。都市がデジタル化すれば、コンピュータ攻撃にさらされる危険性も増える。スマートシティー内で接続デバイスが急増すると、潜在的な攻撃者による不正アクセスのリスクが高まる。
Boards and Solutionsのバーチャル会議では、NVIDIAとIAR Systems、Advantechがスマートシティーをいくつかの側面から解説する。オープニングでは、NVIDIAのスマートシティー部門でEMEA(欧州・中東・アフリカ)ビジネス開発ディレクターを務めるCharbel Aoun氏が、「How AI Can Make Cities Smarter - Powering AI City with IVA」と題した講演を行う。
英国のSecure ThingzのCEO(最高経営責任者)で、スウェーデンのIAR Systemsの組み込みセキュリティソリューション担当ゼネラルマネジャーを務めるHaydn Povey氏は、「Evolution of Cybersecurity Legislation Across IoT」と題した講演を行う。米国や欧州をはじめとする世界各国が法律の制定を進めており、既に多くのIoTやOTシステムに影響を与えている。ブランドイメージの低下や風評被害は言うまでもなく、罰則の可能性を回避するために、コネクテッドデバイスに対して組織が実施しなければならないベストプラクティスや、順守すべき規格やコンプライアンスなどが策定され、家電製品や重要なインフラ、産業用および自動車用プラットフォームに対応するために、数多くの規格が開発されている。企業は、顧客を保護し接続の安全性を確保するために、この課題に取り組む必要がある。
台湾のAdvantechでIoTプラットフォームとエコシステムの責任者を務めるBobby Vale氏は、「Why Zero Touch Onboarding and Provisioning Is Vital for Secure Smart Cities」と題した講演で、スマートシティーにおけるIoT機器のセキュリティについて語る予定だ。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサス、産業機器用32ビットRXマイコンを拡充
ルネサス エレクトロニクスは、産業オートメーション機器向け32ビットRXマイコンとして、機器制御とネットワークの機能を1チップで実現する「RX72N」と「RX66N」を追加した。 - ローカル5G活用をサポートするサービス開始、富士通
富士通は2020年10月8日、ローカル5Gなどの自営無線システム活用をサポートする新サービスの提供および、パートナーシッププログラムを開始すると発表した。 - DMG森精機とNTT Com、ローカル5Gを用い共同実験
DMG森精機とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、ローカル5G(第5世代移動通信)を活用して、自律走行型ロボット(AGV)を遠隔操作する実験を共同で行う。 - 来場目標「20万人超」、CEATECの来場登録開始
CEATEC実施協議会は2020年10月1日、初のオンライン開催となる「CEATEC 2020 ONLINE」(会期2020年10月20〜23日)の来場者事前登録を開始した。会期中の来場者数目標として、「20万人超」を掲げている。出展企業/団体数は300以上となる見込みだという。