LiB主要4部材世界市場、2020年は前年比4.5%減:矢野経済研究所が調査
リチウムイオン電池主要4部材の世界市場(メーカー出荷金額ベース)は、2020年に前年比4.5%減の約200億3811万米ドルを見込む。矢野経済研究所が調査結果を発表した。
中国市場での需要鈍化や価格下落、コロナ禍が影響
矢野経済研究所は2020年10月、リチウムイオン電池(LiB)主要4部材の世界市場(メーカー出荷金額ベース)を調査し、その結果を発表した。2020年は約200億3811万米ドルの見込みである。2019年に比べ4.5%の減少となる。
LiBはスマートフォンなど情報通信機器の電源や、EV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)いったxEVの動力源として搭載されている。一般的に十数点以上の部材や材料で構成される。今回の調査では、LiB向けの「正極材」「負極材」「電解液・電解質」および、「セパレーター」を対象とした。調査は2020年5〜9月に実施した。
車載向けLiB部材市場は、中国市場における需要の鈍化が大きく影響している。その背景には補助金枠の減少がある。また、金額ベースの成長率が数量ベースの成長率を下回るなど、部材価格の下落も市場規模が縮小する要因の1つとなった。
2020年下期に入ると、価格下落に歯止めがかかる状況も見受けられる。しかし、新型コロナウイルスの影響など、市況の見通しに不透明な部分もあり、予断を許さない。一方で、世界的に動き出した、乗用車のCO2排出量規制などによって、今後はxEVの生産が加速される見通しで、LiB需要も拡大する可能性が高まった。
民生小型セル向けLiB主要4部材は、ノートPCやタブレット端末向けなどの需要が拡大している。コロナ禍の影響で在宅勤務などが増えているためだ。このため、2021年以降は再び成長軌道に戻るとみている。
LiB主要4部材の世界市場は国別にも集計している。2019年の実績を見ると、引き続き中国が4部材全てにおいて高い存在感を維持しているという。今後は欧州地域での事業戦略がカギを握るとみている。
日本は、セパレーターで30%台の比較的高い比率を維持している。それ以外の部材は2019年に比べ市場シェアを落とした。韓国は国内のLiBセルメーカー向けが中心となっている。POSCO CHEMICALやEnchemといった新規参入企業が出荷量を増やしているという。
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