5G関連デバイス、2030年に69兆5930億円規模へ:矢野経済研究所が世界市場を調査
5G(第5世代移動通信)関連デバイスの世界市場は、2020年の11兆889億円に対し、2030年は69兆5930億円と予測、10年間で約6倍の規模に拡大する見通しである。矢野経済研究所が発表した。
2022年までは新型コロナウイルスの影響も
矢野経済研究所は2020年7月、5G(第5世代移動通信)関連デバイスの世界市場を調査し、その結果を発表した。市場規模は2020年の11兆889億円に対し、2030年は69兆5930億円と予測、10年間で約6倍の規模に拡大する見通しだ。
今回の調査対象となった5G関連デバイスとは、「回路・基板」(RF回路、基板等)や「主要部品・デバイス」(能動部品、液晶、アンテナ、受動部品、メモリ、その他デバイス)および、「材料・評価システム」(材料、評価システム等)の10区分。市場規模は対象となるメーカーの出荷金額ベースで算出した。調査期間は2019年9月〜2020年6月。
5Gネットワークシステムは当初、主に3〜6GHzの周波数帯を用いてサービスが始まった。日本では既に28GHz帯も割り当てられている。今後は、39GHz帯や60GHz帯を用いたサービスも行われる見通しだという。「Beyond 5G」と呼ばれる5G以降の通信規格では、テラヘルツ帯の利用に向けた研究も始まっている。
5Gネットワークを活用したサービスは、2020年より本格展開が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響もあり、設備投資がやや遅れているという。このため、関連デバイスの需要も、2022年まではその影響を受けるとみている。一方で、新たな生活様式が求められている。5Gネットワークの特長である「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」を生かした新サービスの登場が、関連デバイスの市場拡大を後押しする可能性は高い。
今回の調査によれば、市場は2022年に21兆5469億円となり、その後も高い伸びを続けると予測している。
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