Micron、176層3D NANDフラッシュの出荷を開始:トップクラスのコスト効率を維持
Micron Technologyは、世界で初めてという「176層3D NANDフラッシュメモリ」の出荷を始める。モバイル端末や車載システム、データセンター向けSSDなどの用途に提案していく。
読み書きレイテンシは35%以上改善、ダイサイズは30%小型化
Micron Technologyは2020年11月、世界で初めてという「176層3D NANDフラッシュメモリ」の出荷を始めると発表した。モバイル端末や車載システム、データセンター向けSSDなどの用途に提案していく。量産は同社シンガポール工場で行う。
新製品は、同社の「第5世代3D NAND技術」と「第2世代リプレースメントゲートアーキテクチャ」を採用した。これにより、これまでの3D NANDフラッシュメモリに比べ、読み書きのレイテンシを35%以上も改善している。ダイサイズは競合製品に比べ30%小型化したという。
具体的には、ONFI(Open NAND Flash Interface)バスのデータ転送速度が最大毎秒1600メガトランスファーとなり、従来製品に比べ33%高速化した。この結果、車載用途ではエンジンスタートとほぼ同時に車載システムが起動するという。データセンター用SSDに向けては、サービス品質(QoS)を改善した。メモリのブロックサイズを59%縮小し、読み取りレイテンシの不安定さも48%軽減している。
新製品は、「スタック型リプレースメントゲートアーキテクチャ」や「新しいチャージトラップ方式」「CMOSアンダーアレイ(CuA)アーキテクチャ」といった技術を独自に組み合わせた。これにより、ウエハーごとの記憶容量を増やすことができ、業界トップクラスのコスト効率を維持できるとみている。
この他、書き込み用途で重要となる耐久性の向上、混合型ワークロードにおける高速化、なども実現している。また、ワンパスプログラミングアルゴリズムを採用しており、ファームウェアの開発を簡素化、市場投入までの期間を短縮できるという。
同社は、今回の技術をベースとしたシリーズ製品を追加し、2021年中にも市場へ投入する予定である。
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