半導体デバイス16品目、2025年に43兆円規模へ:富士キメラ総研が市場調査
富士キメラ総研は、半導体デバイス16品目の市場について調査した。2020年見込みの26兆678億円に対し、2025年は43兆470億円と予測した。リモートワークやAI(人工知能)の普及などにより、半導体デバイス需要は引き続き拡大する。
リモートワークやAIの普及などに期待
富士キメラ総研は2020年9月、半導体デバイス16品目の市場について調査し、その結果を発表した。2020年見込みの26兆678億円に対し、2025年は43兆470億円と予測した。リモートワークやAI(人工知能)の普及などにより、半導体デバイスの需要は引き続き拡大する。
今回の調査は、CPUやFPGA、DRAM、NANDフラッシュメモリ、イメージセンサー、SiCデバイスなど、16品目の半導体デバイスを対象とした。この他、半導体パッケージ4品目、半導体関連材料11品目、半導体製造関連装置5品目、副資材3品目および、自動車やスマートフォン、サーバなどアプリケーション5品目についても市場調査を行った。調査期間は2020年4〜7月。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが増え、データの通信量が増加している。これに伴い、サーバ向けなどで半導体デバイスの需要も高まった。調査した16品目の世界市場は、2019年に比べ14.4%の増加を見込む。こうした傾向は今後も続くとみられる。さらに、AIの普及も半導体デバイスの需要を押し上げ、2025年は43兆円規模に拡大する見通しとなった。
品目別でみると、市場規模が最も大きいのはDRAM。これにNANDフラッシュメモリやモバイル機器用APが続く。データセンターの投資に支えられて、DRAMやNANDフラッシュメモリの需要は続伸する。モバイル機器用APは、5G対応スマートフォンやスマートウォッチなどの用途に向けて需要が拡大する。
今後の注目はDRAMやToFセンサーなど5品目
富士キメラ総研は、半導体デバイスにおける今後の注目製品として5品目を挙げた。「DRAM」や「ToFセンサー」「NANDフラッシュメモリ」「イメージセンサー」および、「自動車用SoC・FPGA」である。
DRAMは、データデンターにおけるサーバの処理能力増強などから、搭載量が増える。2025年には13兆円の市場規模となる。ToFセンサーは、AR(拡張現実)普及に欠かせないセンサー。スマートフォンやスマートグラスへの搭載が進むとみられ、2025年には3143億円の市場規模と予測した。
NANDフラッシュメモリは、データセンターへの投資に期待でき、2025年は15兆5000億円を見込む。エリア型のイメージセンサーは、スマートフォンや自動車向けで、多画素化とセンサーサイズの大型化が進む見通しだ。2025年には2兆6460億円の市場規模と予測した。
自動車用のSoC・FPGA市場は、2025年に4659億円と予測した。高い自動運転レベルを実現するため、今後は車両1台当たりの搭載個数が増える。また、LiDARや自動運転制御用ECUなど、高度で複雑な演算を高速に実行するため、高性能SoC・FPGAの搭載も本格化する見通しである。
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