2020年の世界半導体市場、プラス5.1%成長と予測:春季予測から上方修正、WSTS
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2020年12月1日、2020年秋季の世界半導体市場予測を発表した。それによると、2020年の世界半導体市場は前年度比5.1%増のプラス成長となるという。
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2020年12月1日、2020年秋季の世界半導体市場予測を発表した。それによると、2020年の世界半導体市場は前年度比5.1%増のプラス成長となるという。
WSTSは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)によるマイナス影響がある一方、5G(第5世代移動通信)スマートフォンの増加やライフスタイルの変化による半導体需要増が要因だとしている。また、2021年も同8.4%増と成長が加速することを予測。いずれも2020年春季の予測(2020年は同3.3%増、2021年は同6.2%増と予測)から上方修正している。
この予測は2020年9月までの実績値を基にしている。なお、WSTSの市場予測は通常、加盟会社がWSTS半導体市場統計を参照して作成した予測値を基に予測会議を実施し、マクロ経済や主要電子機器の動向などを参考にしつつ検討を加え作成しているが、COVID-19の影響から予測会議が開催されなかったため、今回も春季予測と同様も、加盟各社の成長率予測の平均値を基に作成している。
5Gや巣ごもり需要で「堅調に推移」
2020年の半導体市場は、年初は2019年の低迷から回復基調にあったものの、COVID-19のパンデミックを背景に自動車業界をはじめ世界経済悪化の影響を受けている。WSTSはその一方で、5Gスマホ需要の増加のほか、在宅勤務やオンライン授業などの拡がりによるPC、データセンター関連機器などの”巣ごもり需要”の恩恵によって、「世界経済に比べて半導体市場は堅調に推移していると考えられる」としている。
さらに、2021年の予測については「COVID-19をめぐる状況の改善を前提に世界経済も回復すると期待し、半導体市場も成長が加速する予測となったと考えられる」と説明。5Gの本格化による関連製品の需要拡大のほか、特にCOVID-19の影響が大きかった自動車業界において「急回復を想定されたと見られ、関連市場は高成長が予測された」としている。
日本市場に限ると、2019年の半導体市場は前年比11.2%減の約3兆9187億円となったが、2020年は同2.1%減の約3兆8345億円になると予測。2年連続マイナス成長という予測ではあるが、春季予測時(4.2%減)からは上方修正されている。なお、2021年には同4.8%増の約4兆174億円になると予測している。
2020年世界半導体市場について、製品別では、ディスクリートが前年比1.2%減の236億米ドル、オプトエレクトロニクスは同2.6%減の405億米ドルに減少すると予測。一方で、センサーは同7.4%増の市場規模145億米ドル、IC全体は同6.4%増の3546億米ドルに成長することが予測されている。なお、ICの製品別でみると、メモリが前年比12.2%増、ロジックが同6.5%増、マイクロが同2.0%増、アナログは同0.0%増となる見込み。
さらに2021年には、ディスクリートが前年比7.2%増の253億米ドル、オプトエレクトロニクスが同10.2%増の446億米ドル、センサーが同7.8%増の156億米ドル、IC全体も同8.3%増の3838億米ドルと、全製品でプラス成長を予測している。
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