2020年の半導体売上高、IDMは伸び悩む:ファブレスは順調だが
米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、2020年のファブレス半導体企業の売上高は安定して増加し続けた結果、新記録を樹立する見通しだという。一方、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の過去12カ月間の売上高は伸び悩んだ。
米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、2020年のファブレス半導体企業の売上高は安定して増加し続けた結果、新記録を樹立する見通しだという。一方、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の過去12カ月間の売上高は伸び悩んだ。
IC Insightsは2020年末に、「2020年の世界半導体売上高に占めるファブレス/システムICベンダーの合計売上高の割合は32.9%に増加し、ファブレス部門だけで増加分の約3分の2を占める見通しだ」と予想している。この成長をけん引しているのがAMD(Advanced Micro Devices)で、同社の2020年の半導体売上高は28億米ドル増加するとみられる。
リサーチノートによると、ファブレス半導体の売上高は過去10年間で2倍以上になり、2020年は1300億米ドルに達すると予想されている。
今後の予想に関して、IC Insightsは、「ファブレス/システムICサプライヤーおよびこれらサプライヤーにサービスを提供するICファウンドリーは、IC業界全体において強力な力を持ち続けると予想される。具体的には、今後5年間、IC市場全体に占める割合は30%台前半を維持する見通しだ」と述べている。
これらICサプライヤーとICファウンドリーの成長の陰で、IDMの2020年の売上高は、世界の半導体セクターが活況を呈しているにもかかわらず、6%の増加にとどまった。2020年のIDMの売上高は依然として、(同年の予想売上高が2670億米ドルの)ファブレスセクターの2倍以上であるが、成長率では、力強い成長を見せるファブレス/システムICセクターに後れを取っている。
メモリチップが急成長した2017年と2018年は、IDMが活気づいていたが、世界メモリ市場におけるシェアがほとんどなかったファブレスベンダーは、同期間は振るわなかった。だが、2019年にメモリ市場が破綻すると状況は逆転し、IDM全体の売上高は前年比20%減となった。
一方、世界半導体市場におけるファブレスセクターのシェアは、2019年には3.9ポイント上昇し29.7%となった。
こうした状況を受け、IC Insightsは、ファブレス/システムセクターの2020年の年間合計売上高は20%増加すると予測している。
IC Insightsは、ファブレスICサプライヤーとファウンドリの年間市場成長率には密接な関係があると指摘している。専業ファウンドリーの売上高は、過去数年間は成長が振るわず2019年は1%減少したが、2020年には19%増加すると予想されていた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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