AIと商用宇宙開発分野、2020年後半の投資額が急増:コロナの影響を受けるも急回復
AI(人工知能)と商用宇宙開発のスタートアップは、積極的な技術投資家が2020年後半に最も投資した分野である。株式投資ウェブサイト「Buyshares.com」は2020年のクリスマス休暇の直前に、AIスタートアップが過去6カ月間に99億米ドルのベンチャー資金を集めたと報告した。
AI(人工知能)と商用宇宙開発のスタートアップは、積極的な技術投資家が2020年後半に最も投資した分野である。
株式投資ウェブサイト「Buyshares.com」は2020年のクリスマス休暇の直前に、AIスタートアップが過去6カ月間に99億米ドルのベンチャー資金を集めたと報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)に見舞われた2020年前半の投資は前年同期比で30%減少したが、同年後半に同比15%増となったことは、AI分野の大きな転換を表している。
一方で、機械学習や自然言語処理、コンピュータビジョン技術のパイオニア企業の損失が急増しているという報告もあり、これらの開発企業に対する投資家の熱意が低下する可能性もある。Googleの親会社Alphabetが2014年に買収したAI開発企業であるDeepMindは2020年12月初旬に、2019年の損失額が6億4900万米ドルに上ったと報告している。
また、英国会社登記所(Companies House)への提出書類によると、Alphabetはロンドンに拠点を置くDeepMindのローンと利息の返済に関連する14億8000万米ドルの債務を償却したという。
DeepMindは提出書類の中で、「今後もリスクと不確実性に直面し続けることが予想され、市場での継続的な成功に大きく影響する可能性がある」と認めている。
それでも、民生および産業用途の拡大に向けてAI向けプロセッサを発表する半導体メーカーは増加しており、AIは戦略的な技術として浮上している。例えば、イスラエルを拠点とするスタートアップであるHailoは、AIチップの増産に向けて、2020年前半に6000万米ドルの資金調達ラウンドを完了した。
商用宇宙開発のスタートアップの行く先は、さらに有望に見える。中でも注目すべきは、米国のRelativity Spaceが2020年11月に、2020年の単一企業への投資としては最大規模となる5億米ドルのシリーズDラウンドを完了したことだ。同ラウンドは米国の投資会社である Tiger Global Managementが主導した。
3Dプリント技術を使って部品を製造するロケット開発会社であるRelativity Spaceは、現在約23億米ドルの市場評価を誇っている。
米国カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とする同社は、3Dプリンタで製造した同社初のロケット「Terran 1」を2021年に打ち上げる計画だ。Relatively Spaceは、ミシシッピ州とフロリダ州ケープカナベラルのNASA(米航空宇宙局)施設やカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地など、開発拠点を拡張しながら一連の打ち上げサービス契約を締結してきた。
Relatively Spaceは2020年12月初旬に、Terran1のブースターに搭載した小型人工衛星「CubeSats(キューブサット)」の低地球軌道への打ち上げ能力の実証に向けてNASAと契約を結んだことを明らかにした。NASAとの契約は、同社にとって8番目の打ち上げマニフェストとなる。また、軌道上での給油能力の実証を目的としたNASAとの別の契約では、航空宇宙大手のLockheed Martinとも提携している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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