IntelのCEOが交代へ、技術出身のGelsinger氏に:Bob Swan氏は退任
Intelは2021年1月13日(米国時間)、CEOのBob Swan氏が退任し、Pat Gelsinger氏が後任となることを発表した。Gelsinger氏は2009年にEMCに入社するまで、Intelで長年優秀なエンジニアとしてキャリアを積んできた人物だ。Gelsinger氏は、同年2月15日までにIntelのCEOに就任する予定だ。
Intelは2021年1月13日(米国時間)、CEOのBob Swan氏が退任し、Pat Gelsinger氏が後任となることを発表した。Gelsinger氏は2009年にEMCに入社するまで、Intelで長年優秀なエンジニアとしてキャリアを積んできた人物だ。Gelsinger氏は、同年2月15日までにIntelのCEOに就任する予定だ。
Intelは、自社でチップを製造している半導体メーカーとしては、今でも最大規模だ。データセンターを含むいくつかの分野では圧倒的なシェアを占めていて、主要な新興市場でも成功を収めつつある。例えばIntelが買収したMobileyeは、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転技術を提供する、最も強力なメーカーの一つだろう。
だが、同社はここ数年で業績を落としている。長年、同社の製造能力は他社の追随を許さなかったが、最先端のプロセスノードの開発を進めていく中、TSMCとSamsung Electronicsに後れを取ってしまった。
さらに、HPC(高性能コンピューティング)の分野でも苦戦を強いられている。HPCは決して大きなビジネスではないが、この分野での成功は、企業としての威信を示すことができる。しかしIntelはHPCにおいても、AMDやNVIDIAの勢いに負けている。
これらは、“エンジニアリング企業”を自称し、Gordon Moore氏、Bob Noyce氏、Andy Grove氏という著名な3人のエンジニアが創設した、伝説的な歴史を持つIntelにとって、耐えられないことなのかもしれない。
現CEOのBob Swan氏は、2018年にBrian Krzanich氏が辞任に追い込まれた際、暫定CEOとしてKrzanich氏の後を継いだ。財務出身のSwan氏は、Intelの最大の問題がエンジニアリング関連であると考えられる時期に起用された。つまり、Intelの根本的な問題(エンジニアリングに関わる問題)は変わっていないと考えてもいいのではないか。
CEOの交代を告げるプレスリリースで、Intelの取締役会長であるOmar Ishrakは、「Patは、イノベーション、人材育成、Intelに関する深い知識を持ち、優れた実績を持つテクノロジーリーダーだ。Patは、価値観に基づいた文化的なリーダーシップアプローチを継続し、業務の遂行に重点を置くことになる。取締役会は慎重に検討した結果、Intelにとって重要な変革の時期となる今こそ、リーダーシップを交代し、Patの技術やエンジニアリングの専門知識を活用すべきとの結論に達した」と書いている。
Gelsinger氏は、Moore氏、Noyce氏、Grove氏から指導を受けており、「80486(Intel486)」プロセッサの開発にも携わった。Gelsinger氏は、「Intelを率いていきたい」という野心を公言していたので、2009年にIntelを離れEMCに移った時には多くの人が驚いた。2012年には、VMWare(2004年にEMCが買収)に移り、CEOに就任した。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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