フィックスターズ、エッジAIのクラウド開発環境:自動でアプリの高速化を実現
フィックスターズは、コーティングなしで高速かつ低消費電力のエッジ向けAIアプリケーションを開発できる、クラウド開発環境「GENESIS DevEnv」の販売を始めた。
エッジAIアプリの開発をより簡単に
フィックスターズは2021年1月、コーティングなしで高速かつ低消費電力のエッジ向けAIアプリケーションを開発できる、クラウド開発環境「GENESIS DevEnv」の販売を始めた。
同社はこれまで、受託開発の形態で「AIアプリの高速化」に対応してきた。今回はこの作業をクラウドサービスとして提供することにした。搭載した独自の自動高速化技術を、エッジAI向けの開発用途に限定することで実現した。
エッジAIアプリの開発者は、動作させるデバイスの特性を最大限に引き出すためのアプリ開発が求められる。これに対しGENESISは、用いるデバイスに応じて、開発したプログラムの最適化とコンパイルを自動で行うことができるため、開発者はアプリ開発に集中することができ、開発の負荷も軽減できる。デバイスを変更する時なども、開発したアプリを再利用することで、比較的容易に対応できるという。
GENESISは、設定済みエッジ向けデバイスを接続したデバイスプール層を、クラウドプラットフォーム上に用意している。開発したエッジAIアプリは、自動高速化技術を用いてエッジデバイスごとに最適化され、クラウド上のデバイスプールで実際に実行し、評価することができる。
実行した結果は、エッジデバイスごとに処理時間や消費電力が表示され、性能を比較できる。これらの実測値を基に、開発したAIアプリに最適なエッジデバイスを選択することができるという。なお、利用頻度の高いエッジAIアプリは、テンプレートとして登録されており、一部カスタマイズして独自のアプリを作ることもできる。
GENESISの価格(税別)は、商用利用(フィックスターズのサポート含む)の「Basic版」がユーザー1人当たり月額1万円となっている。また、ユーザー登録すれば非商用利用に限り、トライアル版として全ての機能を試すことができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「富岳」が2期連続でスパコンランキング4冠達成
理化学研究所(理研)と富士通は2020年11月17日、共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」が、スパコンに関する世界ランキング「TOP500」「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の4つで1位を獲得したと発表した。フルスペックの富岳を用いた結果であり、世界初の同時4冠となった2020年6月の前回に引き続き2期連続で4冠達成となる。 - 産学連携でFPGA検証環境を無償提供、「ACRi」設立
筑波大学、東京工業大学、アヴネット、ザイリンクス、SUSUBOX、特殊電子回路、フィックスターズ、わさらぼは2020年4月1日、アダプティブコンピューティング研究推進体「ACRi(Adaptive Computing Research Initiative)」を設立した。「日本で初めて」(同団体)産学連携でのFPGA検証環境と学習機会を無償で提供するという。 - Eta Computeがソリューションメーカーに転向へ
AI(人工知能)チップの新興企業であるEta Computeは、チップのみを開発する企業から方向転換して、エッジデバイスの超低消費電力AIを専業とするシステムソリューションメーカーに転身するという。 - FPGAに実装可能なエッジAI用ハードIP、45fpsで推論
エッジデバイス用の推論プロセッサ開発を手掛けるEdgecortix(エッジコーテックス)は、「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)で、同社の技術を実装して行うエッジAI(ここでは推論)のデモを展示した。 - AMDがXilinxを350億ドルで買収、HPC拡大を狙う
AMDは2020年10月27日(米国時間)、Xilinxを350億米ドル(約3兆6500億円)で買収することで合意したと発表した。 - 5GやエッジAIで進化する産業オートメーションがテーマ
産業オートメーションやスマートシティー、エッジコンピューティングをテーマとしたカンファレンス「Boards and Solutions 2020」が、2020年10月13〜14日にオンラインで開催される。オープニングでは、ArmのIoT部門でバイスプレジデントを務めるJohn Heinlein氏が、産業オートメーションにおけるイノベーションが、OT(運用/制御技術)とITの融合や、クラウド to エッジ向けのソフトウェア実装などによって加速しているというトレンドを取り上げる。