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SK hynixの新工場「M16」が完成、1αnmのDRAM生産へ新たな工場建設も発表

SK hynixは2020年2月1日(韓国時間)、韓国・京畿道の利川(イチョン)市に建設した新たな工場「M16」の落成式を行った。この新施設はメモリデバイスの生産に使われる予定で、まずは1α(アルファ)nm世代(10nmプロセス)を適用するDRAMの生産から開始する。量産開始は2021年後半を見込んでいる。

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 SK hynixは2020年2月1日(韓国時間)、韓国・京畿道の利川(イチョン)市に建設した新たな工場「M16」の落成式を行った。この新施設はメモリデバイスの生産に使われる予定で、まずは1α(アルファ)nm世代(10nmプロセス)を適用するDRAMの生産から開始する。量産開始は2021年後半を見込んでいる。

 同社によると、M16はEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を導入した同社初の工場になるという。それにより、同社は10nm以降のノードに向けて前進する可能性を手にする。M16の床面積は5万7000m2に及び、世界各地にあるSK hynixの製造施設としては最大規模となる。

 SK hynixは、成長市場に向けた製品の製造や、新製品考案のためにもM16を用いる予定だ。例えば、HBM2E(High Bandwidth Memory 2E)メモリなど、高付加価値のDRAM製品の割合を増やしていく。SK hynixは、高性能コンピューティング(HPC)市場や人工知能(AI)市場の成長に応じるべく、HBM2Eの量産を既に開始している。

 なお、SK hynixは2021年後半にも、176層の「4D NAND型フラッシュメモリ」の量産を開始する(M16で製造するかどうかについては、SK hynixは言及していない)。さらに、サーバ向け128層SSDに対する顧客認証も進めるなど、NANDフラッシュ製品の多角化を図る計画だ。

 新たなDRAMとNANDフラッシュのいずれについても、コスト競争力が高まることを期待すると、SK hynixは述べている。

 M16は、少なくとも2014年からロードマップに含まれていたが、同社がその建設を明言したのは2018年になってからだった。


SK GroupのChey Tae-won氏

 SK GroupのチェアマンであるChey Tae-won氏は、M16の落成式で「2年前にM16の建設を決めたころは半導体メモリ全体が低迷していたため、当時は懸念もあった。だが、業界は今後の市況について前向きな見通しを示していることから、われわれが過去に下した大胆な決断がより良い未来につながるとみられる」とも述べた(引用部分はSK Groupより提供)。

 M16以外の取り組みにも既に着手している。2019年、同社は利川市に4つの製造施設を追加で建設する許可を得たことを明らかにした。開発地区は「Yongin Semiconductor Cluster」と呼ばれている。

 M16の落成式で、Tae-won氏は「M16は当社の広範な計画の完了を象徴するものだが、同時にYongin Semiconductor Clusterの始まりのシンボルでもある」と語った。

 SK hynixは、M16の建設に約31億米ドルを投資した。Yongin Semiconductor Clusterでの工場建設では、さらに1100億米ドルの追加投資を行う予定だという。

 SK hynixは2020年通期(2020年12月31日を末日とする)の業績を発表したばかりだ。それによると、売上高は約300億米ドル、純利益は約45億米ドルだった。同社によれば、DRAMとNANDフラッシュの両方とも出荷数(ビット換算)は増加したものの、平均販売価格は低下したという。

 2021年の市況については、DRAMではデータセンターや5Gスマートフォンでの需要がけん引するとみている。NANDフラッシュ市場については、2021年後半に回復すると予測しており、「エコシステム全体の高い在庫水準は、SSDに対する強い需要や、モバイル機器向けで大容量メモリの採用が進むことなどから、2021年前半のうちに解消されるだろう」(SK hynix)との見解を述べた。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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