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「ブロックチェーン」に永遠の愛を誓う 〜神も法もかなわぬ無敵の与信システム踊るバズワード 〜Behind the Buzzword(11)ブロックチェーン(5)(6/7 ページ)

今回は、ブロックチェーンについて“技術用語を使わずに”説明してみました。さらに、ブロックチェーンを使用するアプリケーションとして、「借家システム」「ブロックチェーン投票」「ブロックチェーン婚」を紹介します。

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法律が追い付かないなら「ブロックチェーン婚」で認定してみよう

 では、最後に、ブロックチェーンという「人工信用」技術の社会的意義を、ピンポイントに示すアプリケーションを紹介したいと思います。

 ブロックチェーン婚です。

 ブロックチェーン婚については、ググって頂ければ、結構な数の記事がヒットしますが、その背景を一言で言えば「結婚の多様化に対して、社会システム(法律、行政)と、私たちの社会通念(常識、慣例)が追い付いていない」です。

 最も分かりやすいユースケースが、現時点では合法ではない「同性婚」です。

 同性婚に関する私のスタンスは、もう何度も述べております*)ので、今日は、「モーリス・ウィリアムソンさんの議会演説」をご紹介するにとどめたいと思います。

*)技術的アプローチでは、こちらなど→https://biz-journal.jp/2014/03/post_4420.html

 私が、この「ブロックチェーン婚」を重視しているのは、これからの社会は、法律、行政が揃わない状況下であっても、社会システムの方が「勝手に整備されていく」という可能性が、かなりはっきりと見いだせるからです。

 前回、「天皇制とはブロックチェーンである」というテーゼを掲げて、それについて解説しましたが、今回は、その逆問題「ブロックチェーンであれば、(天皇制に匹敵する)与信システムになる」というテーゼになります。

 ブロックチェーンは、それが「過去にさかのぼって『なかったこと』にはできない」という究極の「人工信用」の製造装置です。

 そして、結婚とは、その成立に必ずしも規範や制度を必要としません。つまり「当事者が結婚である」と認定すれば、それは結婚として直ちに成立するものです。ただ、日本国において、法律上の保護(メリット)を受けるためには、日本国の法律に従った方が「いい」というだけのことです。

 ブロックチェーン婚では、当事者の合意以外の全てのもの ―― 法律、役所への手続き(謄本、抄本、住民票、各種の証明書の提出)、両親の同意、親戚への報告、宗教上のイベントや規定など ―― 全て無視して構いません。

 しかし、ブロックチェーン婚による結婚は、ネット上において多くの人に公開され、認定されることになります ―― そして、それは大きなビジネスチャンスになります

 まず、所帯を持つという意味では不動産業、家電製品なども販路開拓のきっかけになるでしょう。法上の結婚であろうがなかろうが、家族向けの保険の顧客になります。住宅や自動車ローンの需要もあるはずです。プライベートな年金システムも動き出すかもしれません。

 行政は、住民の生活を保護する義務がありますので、事実婚(同性婚を含む)に対する各種の制度が拡充されて行くと思いますし、特に期待できるのは養子制度への橋渡しや、その被保護者への保護の充実が、さらに必要となっていくでしょう。

 裁判所が、ブロックチェーンの証拠能力を公に認めれば、法律上の結婚制度の保護すらなくなるかもしれません。「事実婚=法律婚」がデフォルトとなれば、一体、どこの誰が面倒くさい行政手続きをしようとするだろうか、ということです。

 さらに、立法府(国会)は、法律の作成をチンタラやっていると、議員(特にジジイの政治家たち)の望まないような社会の形成が勝手に進んでしまうという恐怖から、(同性婚等の)立法化が、加速化されていく可能性もあります。

 以上のように、ブロックチェーンという「人工信用」システムは、現在の立法と行政を無力化するほどのポテンシャルを有する、かなり恐ろしいシステムであり、「ブロックチェーン婚」は、その端緒にすぎないのかもしれないのです。



 では、今回の内容をまとめます。

(1)ブロックチェーンの解説を、技術用語を使わない方法で説明を試みましたブロックチェーンとは、分散された台帳であり、(A)「本物の台帳」は世界のどこにも一つとしてなく、全てが「偽物の台帳」であるという、ものすごい割り切り方をしていること,(B)「複数の台帳が手元にあったら、一番厚い台帳だけを残して、残りの台帳は全て捨てろ」というルールだけがあること、(C)チェーンとは、台帳の前のページの縮小コピペで実現していること、という説明をしました。

(2)上記(C)の仕組みによって、ブロックチェーンの改ざんを行うことは事実上不可能であることを、「スマートコントラクト(契約)」の例を用いて説明しました。どのくらい不可能であるかというと、ブロックチェーンに関わる世界中の人間を、拉致、脅迫、買収をしなければならず、それを、極めて短い時間(例:10分以内)で行わなければならないなど、その難しさを「全面核戦争を引き起こして、人類を『最初からなかったこと』にした方が簡単」と表現しました。

(3)ブロックチェーンを使うアプリケーションを10カテゴリーに分類した上で、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの違いを具体例で説明しました。また、スマートコントラクトを使った借家システムの具体例を示し、さらに、2020年に行われた米国大統領の選挙のドタバタを引例として、「ブロックチェーン投票」の仕組みと、日米における運用例をご紹介しました。

(4)「結婚の多様化(同性婚等)に対して、社会システム(法律、行政)と、私たちの社会通念(常識、慣例)が追い付いていない」ことを背景とした、「ブロックチェーン婚」について解説しました。この新しい婚姻与信の仕組みは、現在の立法と行政を無力化するほどのポテンシャルを有する、かなり恐ろしいシステムであることを具体例で説明しました。


 以上です。



 アメリカ合衆国第45代大統領、ドナルド・ジョン・トランプさんに対する、私の所感は控えさせて頂きますが(まあ、日常的に、私のブログやコラムを読んで頂いている方には、明らかでしょうが)、はっきり言えることは、「この人ほど、私に膨大なコラムネタを提供してくれた人はいない」ということでしょう。

 彼の大統領就任なくして、この記事プレゼンが、世の中に出ていくことはなかったでしょう。

 地球温暖化について再度のレビューをすることもなかったと思いますし、新型コロナ禍におけるこれらの記事を自分なりの確信を持って執筆(シバタ医師の代筆)をすることもなかったでしょう。

 それに、権力者によるSNSの濫……もとい、運用について、これほどのリアルをもって実施されることは、これまでになかったと思います。

 私は、インターネットの構築に微力ながら参画したという自負のあるネットワークエンジニアですが、「『私のインターネットによる理想の民主的社会』の幻想」を、これほど徹底的に破壊し尽くしてくれた人物はいないと確信します。

 さらに、今回のシリーズで解説している「人工信用」のメカニズムを、過去の事例ではなく、現在進行形の社会で実体験の中で体感するというレアなチャンスも与えてもらったと思っています。

 加えて、私を、「不正選挙」というものの数学的、統計学的な観点から検証してみたいという気持ちに導いた、という点においても、高く評価しています。

 そして、誰が見ても、文句の付けられない、不正の発生する余地のない、安全で簡単でスケーラブルな投票システムを作らなければならないという危機意識は、私のみならず、世界中のブロクチェーン研究者、そして、有権者と為政者にも共有できたと思います。

 これから50年くらいの間で出てきたであろう、ネット社会の厄介な問題(他の問題については、知らん)、たった4年間で出し尽くした(?)という点において、彼の功績は大きいです。



 ドナルド・ジョン・トランプさん。あなたは私たち人類に対して十分に貢献されました。

 その貢献はあまりにも十分すぎて ―― もう、ずっと休んでいてもいいと思えるほどです

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