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次世代NANDフラッシュは176層とQLCでコストを大幅に削減福田昭のストレージ通信(179) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(6)(2/2 ページ)

今回は、次世代の3D NANDフラッシュについて解説する。次世代3D NANDフラッシュでは、176層の高層化と、QLC(quadruple level cell)方式の多値化が主流になる。

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2020年代半ばにはQLC方式の3D NANDフラッシュが主流に

 記憶密度を高める手法にはワード線(メモリセル)の積層数を増やす「高層化」のほかに、1個のメモリセルに複数のデータを記憶する「多値化」がある。3D NANDフラッシュは、1個のメモリセルに3ビットを記憶する「TLC(Triple Level Cell)」技術で本格的な商業生産が始まった。現在もTLC方式が3D NANDフラッシュの主流である。

 次世代の多値記憶技術は、1個のメモリセルに4ビットを記憶する「QLC(Quadruple Level Cell)」技術であり、2018年に商業生産が始まっている。理論的にはメモリセルアレイの記憶密度をTLCに比べて1.33倍にできる。記憶容量当たりの製造コストでは25%下がることになる。ただし実際には設計とテストのオーバーヘッドがあるので、製造コストの低減は20%〜23%にとどまる。


4ビット/セル(QLC)方式の多値記憶技術を採用した3D NANDフラッシュの動向。出典:FMS 2020の講演「Flash Memory Technologies and Costs Through 2025」の配布資料(クリックで拡大)

 QLC方式の3D NANDフラッシュは、性能では明らかにTLC方式に比べて劣る。製品が市場に投入された当初は、ユーザーから不満が相次いだ。しかし過去にプレーナーNANDフラッシュでMLC(Multi-Level Cell、2ビット/セル)方式からTLC方式へと移行した歴史が、QLC方式でも繰り返されるとみる。QLC方式NANDフラッシュ技術とキャッシュ技術、コントローラー技術の改良が進むとともに、ストレージの性能は向上する。一方でユーザーはQLC方式NANDフラッシュの扱いに慣れ、許容範囲が広くなる。

 おおよそ7年〜8年がかかるものの、ビット換算ではいずれQLC方式が主流になるだろう。2021年にはビット換算でNANDフラッシュの15%前後をQLC方式が占める。2025年以降にはQLC方式がビット換算で50%前後を占めるようになると予測する。さらにその先には、1個のメモリセルに5ビットを記憶する「PLC(Penta Level Cell)」技術が控えている。

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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