日本ガイシとルネサス、二次電池+マイコンで協業:レファレンスデザインを開発
日本ガイシとルネサス エレクトロニクスは、メンテナンスフリーIoTデバイスのさらなる普及を目指して協業を行う。第一弾として、日本ガイシ製リチウムイオン二次電池と、ルネサス製マイコンを組み合わせた、ワイヤレス空気質センシングシステムのレファレンスデザインを開発した。
第1弾はワイヤレス空気質センシングシステム向け
日本ガイシとルネサス エレクトロニクスは2021年3月、メンテナンスフリーIoTデバイスのさらなる普及を目指して、協業を行うと発表した。その第1弾として、日本ガイシ製リチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズと、ルネサス製マイコン「REファミリー」を組み合わせた、ワイヤレス空気質センシングシステムのレファレンスデザインを開発した。
世界的に脱炭素化の動きが加速している。このため、環境をモニタリングするさまざまなIoT(モノのインターネット)機器などでは、光や熱、振動といった身の回りにあるわずかなエネルギーを電力に変換して活用するシステムが求められている。
EnerCeraシリーズは、薄くて小さく、高容量、低抵抗、長寿命といった特長を持つ。環境発電で得られる微弱な電流でも効率よく充電することができ、無線通信などに必要とされる大きな電流を断続的に出力することが可能である。
REファミリーは、SOTBプロセス技術を用いることで、動作時とスタンバイ時の両方において、極めて小さい消費電流を実現した。しかも、動作電圧1.62Vで64MHz動作と、低電圧時でも高速動作が可能である。環境発電用の制御回路も内蔵している。
今回開発したワイヤレス空気質センシングシステムのレファレンスデザインは、太陽電池で駆動する。電源ケーブルの配線や電池交換などを行うことなく、大気中にあるさまざまな有害物質を常時モニタリングすることができる。LPWA(Low Power Wide Area)などの長距離無線通信を利用することも可能だという。
さらに今後は、環境モニタリング以外の分野に対しても、EnerCeraシリーズとREファミリーを組み合わせた、メンテナンスフリーIoTデバイス向けのレファレンスデザインを開発していく計画である。
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