機能性高分子フィルム、スマホなどが需要をけん引:富士キメラ総研が世界市場を予測
富士キメラ総研は、主要分野ごとにエレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査。2024年の市場規模として、電子回路基板などに用いられる実装向けは4723億円、LCD/OLED向けは7681億円、半導体向けは563億円と予測した。
「円偏光板用位相差フィルム」と「低誘電用FCCL基材」に注目
富士キメラ総研は2021年3月、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査し、主要分野ごとに予測結果を発表した。2024年の市場規模として電子回路基板などに用いられる実装向けは4723億円、LCD/OLED(液晶/有機ELディスプレイ)向けは7681億円、半導体向けは563億円と予測した。
今回は、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムを5つの分野で調査し、市場を予測した。対象製品は「LCD/OLED」分野で8品目、「タッチパネル」分野で4品目、「半導体」分野で4品目、「実装」分野で11品目、「その他」10品目である。調査期間は2020年9月〜2021年1月。
半導体分野は、後工程に用いられるバックグラインドテープ、ダイシングテープ、ダイボンドフィルム、半導体封止用離型フィルムを対象とした。2020年は「テレワーク」や「巣ごもり」の影響もあって、ノートPCやタブレット端末、サーバなどに向けたICの需要が高水準で推移した。
ただ、金額ベースでは価格下落などの影響もあり、2020年は前年比0.2%減の528億円となる見込み。今後は、バックグラインドテープやダイシングテープなどの需要が堅調に推移する見通しから、2024年の市場規模は563億円と予測した。
実装分野の対象製品は、非導電性接着フィルムや異方導電性フィルム、2〜3層のFCCL、低誘電用FCCL基材、FPC用離型フィルム、アディティブ基板用の層間絶縁フィルム、カバーレイフィルム、ドライフィルムレジストおよび、フィルム状ソルダーレジストである。
スマートフォンや自動車の市場動向に左右される中で、2020年は前年比3.4%増の4259億円を見込む。今後はドライフィルムレジストや2〜3層のFCCL、カバーレイフィルムなどが需要をけん引する見通しから、2024年は4723億円の市場規模になると予測した。
LCD/OLED分野の対象製品は、偏光子保護フィルムや表面処理フィルム、バックライト用光学フィルム、プロテクトフィルム、FPD用離型フィルム、円偏光板用位相差フィルム、QDシート、耐屈曲性フィルムである。2020年は前年比1.2%増の7433億円となる。2024年は7681億円と予測した。
富士キメラ総研は、今後の注目市場としてOLEDパネルに搭載される「円偏光板用位相差フィルム」と、スマートフォンで採用が拡大する「低誘電用FCCL基材(LCPフィルム、MPIフィルム)」を挙げた。
円偏光板用位相差フィルムの市場規模は、2020年見込みの158億円に対し、2024年は352億円と予測した。低誘電用FCCL基材は、2020年見込みの290億円に対し、2024年は405億円規模に達する見通しである。
関連記事
- 光学ユニット市場、2026年は約9兆円の規模に
富士キメラ総研は、イメージング&センシング関連の世界市場を調査。この中で、カメラモジュールなどの光学ユニット市場(10品目)は、2020年見込みの5兆5967億円に対し、2026年は8兆9781億円規模になると予測した。 - 自動車部品30品目、2030年は約41兆円規模へ
富士キメラ総研は、自動車部品30品目の世界市場を調査し、2030年までの市場予測を発表した。市場規模は2020年見込みの27兆6820億円に対し、2030年は40兆9828億円と予測した。 - 半導体デバイス16品目、2025年に43兆円規模へ
富士キメラ総研は、半導体デバイス16品目の市場について調査した。2020年見込みの26兆678億円に対し、2025年は43兆470億円と予測した。リモートワークやAI(人工知能)の普及などにより、半導体デバイス需要は引き続き拡大する。 - 自動運転レベル2以上車両、2045年までに1億台超え
富士キメラ総研は、自動運転車の世界市場を調査した。2045年には、自動運転レベル2以上に対応した車両の生産台数が1億3552万台に達する見通しだ。 - 車載ECUの世界市場、2030年に17兆1822億円へ
富士キメラ総研によると、xEVの普及や自動運転車の増加などにより、2030年の車載ECU市場は17兆1822億円規模になると予測した。 - 車載電装システム市場、2030年に約49兆円規模へ
富士キメラ総研は、車載電装システムの世界市場を調査した。これによると、2019年見込みの24兆8945億円に対し、2030年は48兆9120億円規模に拡大する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.