東北大、3Dプリント技術で固体蓄電デバイスを製造:プロトン伝導膜用インクを開発
東北大学は、3Dプリンティング技術を用い、固体蓄電デバイスを製造することに成功した。ウェアラブル/フレキシブルデバイスに搭載可能な電源を実現するための基盤技術として注目される。
ウェアラブルデバイス用電源の基盤技術に
東北大学多元物質科学研究所の本間格教授とシュタウススヴェン准教授、岩瀬和至助教らによる研究グループは2021年4月、3Dプリンティング技術を用い、固体蓄電デバイスを製造することに成功したと発表した。ウェアラブル/フレキシブルデバイスに搭載可能な電源を実現するための基盤技術として注目される。
3Dプリンティング技術を応用して三次元造形を行う場合、インクの粘度を適切に制御する必要がある。粘度が低いと任意の形状に成形するのが難しく、粘度が高すぎるとインクをうまく吐出できない、などの課題があった。
研究グループは今回、「イオン液体に無機ナノ粒子を混合するとイオン液体の粘度が変化してゲル状になる」という現象に着目した。そして、プロトン性イオン液体と無機ナノシリカおよび、光硬化樹脂を混合する手法を用い、任意の粘度を有するインクの開発に成功した。このインクを用いてプロトン伝導膜が作製できることを実証した。吐き出したインクに紫外線ランプを照射すると、光硬化樹脂が硬くなり形状を維持できることも確認した。
実験では、開発したこれらの技術を用い、疑似固体電気化学キャパシターを作製。このキャパシターは充放電が可能であることも実証した。疑似的に固体状態を維持しているため、従来の電気化学キャパシターのように内部液が漏れることはない。難燃性のイオン液体を用いるため高い安全性も実現できるという。
今回の研究成果を応用すれば、固体蓄電デバイスについて、電極から電解質まで3Dプリント技術を活用して製造することが可能となる。
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