ニュース
東北大、高出力のマイクロ発電デバイスを開発:振動加速度1Gで発電出力10mW以上
東北大学未来科学技術共同研究センターの桑野博喜教授らによる研究グループは、仙台スマートマシーンズと協力し、小型軽量で高い発電出力が得られるマイクロ環境発電デバイス(エナジーハーベスター)を開発した。振動加速度1Gで10mW以上の発電出力が可能である。
振動体にSUS基板を採用、機械的特性や耐久性を向上
東北大学未来科学技術共同研究センターの桑野博喜教授らによる研究グループは2021年2月、仙台スマートマシーンズと協力し、小型軽量で高い発電出力が得られるマイクロ環境発電デバイス(エナジーハーベスター)を開発したと発表した。
開発した環境発電デバイスは、窒化アルミニウム(AlN)をベースとする圧電薄膜を用いて、周囲の振動を電気エネルギーに変換する。発電出力は、容積1ccで振動加速度1Gの場合に、10mW以上の発電出力が得られるという。振動加速度が0.01G(〜0.1m/s2)という低加速度でも、1mW以上の発電出力を実現した。
振動体には、SUS(ステンレススチール)基板を用いた。一般的なMEMSデバイスに用いられるシリコン基板に比べ機械的な強度に優れており、自動車や電車など、過酷な環境でも使用できるという。
研究グループは、開発した環境発電デバイスと同じ構造を用いて超低周波マイクロ振動センサーを開発した。振動周期が1Hz以下の帯域を測定できるという。東北大学ベンチャーパートナーズや菊池製作所などから出資を受けて設立された仙台スマートマシーンズが、商品化に取り組んでいる。
さらに研究グループでは、「Ferroelectric Dipole Electret」も提案、100mW/cc以上の発電出力を目指し、開発を行っている。
関連記事
- 東工大ら、全固体電池の容量を従来の2倍に
東京工業大学らによる研究グループは、全固体電池の容量を従来の2倍とすることに成功した。不純物を含まない電極/固体電解質界面を作製することで実現した。EV(電気自動車)の航続距離を延ばすことが可能となる。 - 反強磁性体で磁気熱量効果が最大となる物質発見
東京大学の研究グループは、東北大学や理化学研究所、金沢大学などの研究グループと協力し、反強磁性体物質において、ゼロ磁場での巨大な異常ホール効果を見いだした。ネルンスト効果と呼ばれる磁気熱量効果が、反強磁性体の中で最大値になることも発見した。 - 東北大学、Mg蓄電池用正極材料の開発指針を示す
東北大学は、名古屋工業大学や東京都立大学の研究グループと共同で、マグネシウム(Mg)蓄電池のサイクル特性を向上させる、新たな正極材料の開発指針を見つけ出すことに成功した。 - 東北大、円偏光で界面に誘起されるスピンを発見
東北大学は、円偏光によって強磁性と非磁性の界面に誘起されるスピンを発見した。高速で消費電力が小さい光磁気メモリの開発に弾みを付ける。 - 直径2.3nmの新構造形状磁気異方性MTJ素子を開発
東北大学の研究グループは、直径が原子10個程度(2.3nm)と極めて小さい磁気トンネル接合(MTJ)素子を開発した。150℃の高温環境でも高いデータ保持特性を維持し、10ナノ秒という高速低電圧動作が可能なことも確認した。 - 東北大学、THz波の透過率と位相を電圧で制御
東北大学は、6G(第6世代移動通信)システムに向けたチューナブルテラヘルツ波制御技術を開発した。メタマテリアルの電磁誘起透明化現象を、MEMSで動的に制御することにより実現した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.