NEC、数秒間のサンプル映像から類似行動を検出:オンデマンド行動検出技術を開発
NECは、数秒間のサンプル映像を与えるだけで、類似の行動をライブカメラなどの映像から見つけ出すことができる「オンデマンド行動検出」技術を開発した。
被写体の向きや大きさが異なっても大丈夫
NECは2021年4月、数秒間のサンプル映像を与えるだけで、類似の行動をライブカメラなどの映像から見つけ出すことができる「オンデマンド行動検出」技術を開発したと発表した。検出したい行動を定義しAI(人工知能)にあらかじめ学習させるなどの手間を大幅に省くことができる。
商業施設などでは、施設内外に設置されたカメラの映像などを活用して、来場者の行動や設備の異常などをリアルタイムに監視している。来場者らの体調不良や設備の不具合などを速やかに検出し、介護やメンテナンス業務などを迅速に行うためである。特に近年は、自動で行動などを検出するAI応用システムが注目されている。ところが、人物の検知などで高い精度を得るには、大量の映像を学習させるなど、事前の準備が大きな負担となっていた。
NECが開発したオンデマンド行動検出技術は、サンプル映像に映る人物の骨格構造を推定し、骨格の変化をライブカメラの映像や映像アーカイブ内の動作と比較する。これによって、類似する行動を高精度に検出できるという。
例えば、数秒間のサンプル映像をAIに学習させるだけで、類似行動の検出が可能となる。このため、事前に想定していなかった要支援行動なども容易に追加し、検出することができるという。被写体の向きや大きさが異なる場合も、類似の行動が検出可能である。キャッチボールでカメラを背にして投げたり、カメラに向かってボールを投げたりする場合でも、これらの行動を検出できる。さらに、画像から推定した骨格形状(十数個の関節点)をベースに行動を照合することで計算量を削減し、リアルタイムでの検出を可能にした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- O-RAN仕様の5G基地局でCAに成功、下りは最大4.2Gbps
NTTドコモ、富士通、NECは2020年9月30日、5G(第5世代移動通信)など向けに無線アクセスネットワークのオープン化(Open RAN)を進める団体「O-RAN Alliance」の仕様を用いた異なるベンダー間の5G基地局装置を使用して、5G周波数帯のキャリアアグリゲーションに成功したと発表した。3社の発表によれば、これは「世界初」だという。 - 偏波MIMO対応ミリ波フェーズドアレイ無線機開発
東京工業大学とNECの研究グループは、5G(第5世代移動通信)システムの通信速度をさらに高速化できる「偏波MIMO対応のミリ波フェーズドアレイ無線機」を共同で開発した。同じ周波数帯域幅を用いた従来方式に比べ、通信速度を2倍にすることが可能となる。 - 住友商事とNEC、西新宿地域にスマートポール設置
住友商事とNECは、東京都が実施するスマートポールの先行・試行設置と検証に向け、2020年6月末までに東京・西新宿エリアへ2種類のスマートポールを設置する。 - NEC、自営通信網向け学習型通信分析技術を開発
NECは、ネットワークの専門家がいなくても、「ローカル5G」などの自営無線網を常時高品質で利用することができる「学習型の通信分析技術」を開発した。 - 5Gと深層学習を活用、鉄道インフラを遠隔監視
中央復建コンサルタンツとNTTドコモ、京浜急行電鉄および、横須賀市の4者は、5Gと高速AIディープラーニングを活用して、遠隔地から鉄道インフラをリアルタイムに自動監視する実証試験に成功した。 - PALTEKなど3社、車両AI評価キットを共同開発
PALTEKとサイレックス・テクノロジー、ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)は、車両AI評価キット「AISG-GDM-ZIAC3-EV-KIT」を共同開発し、受注を始めた。自動運転機能を搭載する農業機械や建設機械、搬送ロボットなどの開発を支援する。