ケイデンス、Vision DSP製品ファミリを拡張:自動車やモバイル機器などに対応
ケイデンス・デザイン・システムズは、Tensilica Vision DSP製品ファミリとして新たに、2種類のDSP IPコアを発表した。自動車やモバイル機器などにおける画像や映像処理の用途に向ける。
ハイエンドからローエンドまで網羅的にサポート
ケイデンス・デザイン・システムズは2021年4月、Tensilica Vision DSP製品ファミリとして新たに、2種類のDSP IPコアを発表した。自動車やモバイル機器などにおける画像や映像処理の用途に向ける。
新製品は、フラグシップ製品と位置付ける「Vision Q8 DSP」と、電力効率に優れたソリューションを提供する「Vision P1 DSP」の2種類である。いずれも現行のVision DSPと同様にSIMDおよび、VLIWアーキテクチャをベースとしており、ソフトウェアの移行も容易だという。
第7世代と呼ぶVision Q8 DSPは、3.8TOPSの処理能力を持つ1024ビットSIMDにより、現行のVision Q7 DSPに比べて、処理性能とメモリ帯域幅をそれぞれ2倍とした。シングルコアのため、消費電力は最大20%節減できるという。AI処理を行う非Convolutionレイヤーのパフォーマンスは最大4倍となる。
これに対しVision P1 DSPは、スマートセンサーやAR/VRグラスなど、常時動作が求められる用途に向けて消費電力を抑えた製品である。400GOPSの128ビットSIMDにより、既存のVision P6 DSPに比べ、消費電力とエリアをそれぞれ3分の1に小さくし、動作周波数は20%も高めた。
この他、Vision Q8 DSPとVision P1 DSPは、Tensilica Instruction Extension(TIE)言語に対応し、命令セットを自由にカスタマイズすることが可能である。また、ニューラルネットワーク向けのXtensa Neural Network Compiler(XNNC)やAndroid Neural Networks API(ANN API)、1700種を超えるOpenCVベースのVision Library関数やOpenCL、Halideコンパイラにも対応している。さらに、両コアとも車載用途で必須となる、ASIL-Bランダムハードウェア故障および、ASIL-Dシステマチック故障の認証を取得しているという。
Vision Q8 DSPのIPコアは既に提供を始めている。Vision P1 DSPは、2021年第2四半期から一般顧客向け販売を始める予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Imaginationが技術革新に取り組む専門組織を創設
英Imagination Technologies(以下、Imagination)は2021年3月25日(現地時間)、最先端半導体製品の基礎となる技術開発を専門に行う組織「IMG Labs」を創設したと発表した。半導体業界における将来のトレンドを予測し、ライセンス可能な新しい技術を生み出すための取り組みを部門横断で行う。 - NVIDIA、ArmベースのCPU「Grace」を発表
NVIDIAは2021年4月12日(米国時間)、データセンター向けCPU「Grace」を発表し、CPU市場に正式に参入した。同CPUは、大規模なAI(人工知能)やHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)市場向けに、GPUと組み合わせる設計となっている。 - パナソニック、HD-PLC4 IPコアライセンス供与開始
パナソニックは、電力線などさまざまな既設のメタル線を活用して、高速にデータ通信を行うための通信規格(IEEE 1901-2020)に準拠した「HD-PLC4」IPコアのライセンス供与を始めた。 - 演算性能と電力効率を両立したCNNアクセラレーター
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2021年2月17日、オンラインで開催された半導体業界最大級の国際学会「ISSCC 2021」(同年2月13〜22日)で、車載SoC(System on Chip)向けに高い性能と電力効率を両立したCNN(畳み込みニューラルネットワーク)アクセラレーターコアおよび機能安全技術を発表した。 - PALTEK、エッジAI向けハードIPのEdgeCortixと提携
PALTEKは、EdgeCortixと販売代理店契約を結んだ。ザイリンクス製アクセラレーターカードに、EdgeCortixが開発したエッジデバイス用推論プロセッサ向けハードウェアIPを実装し、省スペースや低電力化を必要にするエッジAI用途に提案していく。 - ハードウェアトロイ検出ツールによるサービス開始
東芝情報システムは、早稲田大学の戸川望理工学術院教授と共同で、ハードウェアトロイ検出ツール「HTfinder」を開発、これを用いて回路を検証するサービスを始めた。このツールは、IC内部に隠された悪意のある回路(ハードウェアトロイ)を検出する機能を備えている。