HDD大手Seagateの四半期売上高、前年比が3四半期ぶりに上昇:福田昭のストレージ通信(197)(2/2 ページ)
HDDの大手ベンダーである米Seagate Technologyが、2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の業績を発表した。今回は、その業績を紹介する。
SSD関連の売上高が前年同期比で24%増と急激に拡大
Seagateは製品別の売上高を、「HDD製品」と「その他(SSD製品やエンタープライズ・ソリューションなど)の製品」に分けて公表してきた。売り上げのほとんどを占めるのは、「HDD製品」である。
2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)に「HDD製品」の売り上げは前四半期比(前期比)2.8%増、前年同期比1.3%減の24億9300万米ドルとなった。前期比は3四半期ぶりに増加に転じた前四半期に続き、2四半期連続で上昇した。前年同期比は3四半期連続の減少であるものの、減少幅は小さくなってきた。
2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)に「その他(エンタープライズ・ソリューションやSSD製品など)の製品」の売り上げは2億3800万米ドルとなった。前四半期比(前期比)は20.2%増、前年同期比は24.0%増という急激な拡大である。前期比は同年度第2四半期に続いて増加した。前年同期比は2020会計年度第4四半期(2020年4月〜6月期)以来、3四半期ぶりに増加に転じた。
大容量HDDの総出荷記憶容量が2四半期連続で過去最大を更新
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量(平均記憶容量)を製品分野別に公表してきた。製品分野は「大容量品(マスキャパシティ品)」と「既存品(レガシー品)」に分けている。マスキャパシティ品には、ニアラインHDD、画像データ格納用HDD、NAS(Network Attached Storage)などが含まれる。レガシー品にはミッションクリチカルHDD、デスクトップPC用HDD、ノートPC用HDD、デジタルビデオ録画用HDD、ゲームコンソール用HDDなどが含まれる。
マスキャパシティ品の総出荷記憶容量は、2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)に110.6EB(エクサバイト:1018バイト)に達した。前四半期比(前期比)では14%増である。過去最大となった前四半期に続き、総出荷記憶容量の最大記録を更新した。マスキャパシティ品の大半を占めるニアラインHDDの総出荷記憶容量は95.5EBとなり、前の四半期と比べて34.1%増加した。
マスキャパシティ品の平均記憶容量(1台当たりの記憶容量)は9.6 TB(テラバイト)で、前四半期と比べて1.7TB増えて過去最大を記録した。また3四半期ぶりに平均記憶容量の前四半期比が増加し、減少傾向に歯止めがかかった。
HDD全体の売上高に占めるマスキャパシティHDDの割合は65%である。前の四半期に比べて3ポイント上昇した。
レガシー品の総出荷記憶容量は2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)に29.0EBである。前の四半期に比べて9.4%減少した。平均記憶容量は1.8TBで、前の四半期と変わらない。
HDD全体の総出荷記憶容量は139.6EBである。前四半期比8.0%増となり、過去最大を更新した。HDD全体の平均記憶容量は5.1TBである。前の四半期に比べて0.8TB増加した。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Samsungの埋め込みMRAMをソニーのGPSレシーバーLSIが搭載
今回は、Samsung Electronicsが開発した埋め込みMRAM技術の製品化事例を報告する。具体的には、Huaweiのスマートウォッチ「GT2」に搭載されているソニーセミコンダクタソリューションズのGPSレシーバーIC「CXD5605」に、SamsungのMRAMマクロが内蔵されていることが明らかになった。 - Everspinが3世代にわたって開発してきたMRAM技術の変遷
今回は、最も多くの出荷実績を有するMRAMベンチャーであるEverspin Technologiesについて解説する。 - 3D NANDフラッシュの製造コストを2022年まで予測
今回は3D NANDフラッシュのシリコンダイ製造コストが2020年〜2022年にどのように変化するかを解説する。 - 高層化の継続で、製造コストを爆下げする3D NANDフラッシュ
今回からは、半導体メモリのアナリストであるMark Webb氏の「Flash Memory Technologies and Costs Through 2025(フラッシュメモリの技術とコストを2025年まで展望する)」と題する講演の概要をご紹介する。 - ソニーが20年度通期業績を上方修正、CMOSセンサーも想定上回る
ソニーは2021年2月3日、2021年3月期(2020年度)第3四半期(2020年10〜12月期)決算を発表するとともに、2020年度通期業績予想を上方修正した。 - 前進し続けるIntel
Intelは2021年1月21日(米国時間)、業績発表を行った。それを見ると、同社の“終末時計”のカウントダウンに、少なくとも数秒は追加されたといえるだろう。ただし、完全に楽観視できるわけではなさそうだ。スピンドクター(情報操作が得意な人)たちは、Intelの2020年の業績のマイナス面だけを簡単に強調することができる。また、プラス面よりも欠点の方に反応を示す投資家たちもいる。