この記事は、2021年5月10日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
※この記事は、「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」をお申し込みになると無料で閲覧できます。
ルネサス早期復旧も課題は“キャパ”
先月、4月17日、ルネサス エレクトロニクス那珂工場300mmウエハーラインでの生産が再開されました。3月19日の火災発生から1カ月足らずでの生産再開でした。
以前、小欄でも書いた通り、火災直後の真っ黒になったクリーンルームの写真をみて、絶望に近い衝撃を受け、到底1カ月での稼働再開は不可能だと思っていました。そのような惨事にもかかわらず、ルネサスは火災直後から公言してきた「1カ月以内の生産再開」に計画通りこぎ着けました。
サプライヤーや納入先からの多大な協力とともに、これまで東日本大震災や熊本地震など何度も工場が災害に見舞われてきたこれまでの経験、ノウハウをしっかりと生かした結果、これほどまでに早期の復旧が実現できたと思われます。
4月28日に開催した2021年1〜3月期の業績発表会見では、4月中に火災前の生産能力の50%程度まで復旧させるという当初計画よりも、少し遅れていることを明かすなど、火災直後から積極的に情報開示を行ってきたことも、今回のルネサスの火災対応では強い印象が残りました。焼損した製造装置の種類や、一部ではありますがクリーンルームのレイアウト図も公開しました。そうした姿勢からも、火災の影響を最小限に食い止めたいという思いが伝わってきました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 半導体工場の過去の地震被害と復旧までの時間
過去、半導体工場は地震被害を受け、稼働停止を余儀なくされてきた。 - ルネサス、2019年12月期業績は減収減益
ルネサス エレクトロニクスは2020年2月12日、2019年12月期(2019年1〜12月)通期業績を発表した。非経常項目などを除いたnon-GAAPベースの業績は、売上高が前年比5.1%減の7182億円、営業利益が同10.5%減の931億円、当期純利益が同8.4%減の764億円で、減収減益だった。なお、GAAP(財務会計上の数値/IFRS基準)ベースでは、売上高7182億円(同5.1%減)、営業利益68億円(同90%減)、当期純損益59億円の赤字(前年は509億円の黒字)で、最終赤字となっている。 - ルネサスの2020年4〜6月業績予測、車載需要が減少
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2020年5月29日、2020年12月期第2四半期(2020年4〜6月)の業績予想を発表した。 - ルネサス、5年前の教訓生かした震災対策「成果出た」
ルネサス エレクトロニクス社長兼CEOを務める鶴丸哲哉氏は2016年5月11日、熊本地震で被災した熊本地区製造拠点の復旧作業状況について説明を行った。 - ルネサス1〜3月、実需減に在庫調整加わり大幅減収
ルネサス エレクトロニクスは2019年5月14日、2019年12月期(2019年度)第1四半期(1〜3月)業績および、2019年度第2四半期(4〜6月)業績見通しを発表した(業績はいずれもNon-GAAPベース)。2019年度第1四半期は、実需の減少に加え、流通在庫調整の影響により、売上高は前年同期比19%減の1503億円と大きく落ち込んだ。