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車載カメラ用の低EMI降圧型スイッチングレギュレーター高画素化による電流増に応える

エイブリックは2021年5月25日、車載用カメラモジュールなど向けに、低EMIを特長とする降圧型スイッチングレギュレーター「S-19914/15」シリーズを発表した。

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「S-19914/15」シリーズ

 エイブリックは2021年5月25日、車載用カメラモジュールなど向けに、低EMIを特長とする降圧型スイッチングレギュレーター「S-19914/15」シリーズを発表した。S-19914シリーズはPWM(パルス幅変調)制御方式、S-19915シリーズはPWM/PFM(パルス周波数変調)切り替え制御となっている。主な用途はADAS(先進運転支援システム)や自動運転などで使われる、高画素のカメラで、カメラモジュール側、ECU(電子制御ユニット)側のいずれにも搭載可能だ。AEC-Q100に準拠する予定となっている。

 ADASや自動運転には車載カメラが欠かせないが、これらのカメラは、クルマ1台当たりの搭載数が増えるとともに高画素化も進んでいる。カメラは画素数が高いほど大きな出力電流が必要にある。そのため、「出力電流が増えると発熱量も増えてしまうLDO(低ドロップアウト)レギュレーターに代わり、スイッチングレギュレーターへの要望が増えてきた」とエイブリックは説明する。ただ、スイッチングレギュレーターでは、スイッチングによるノイズの発生が懸念されることから、EMIを極力抑える仕組みが重要になる。

 S-19914/15シリーズでは、スペクトラム拡散型発振回路を搭載することで、ICが発するEMI(伝導ノイズと放射ノイズ)を低減する。具体的には、同シリーズの発振周波数である2.2MHz+6%の範囲で周波数を変動させ、2.2MHz付近の雑音エネルギーを分散させる。これにより、エイブリックの従来品である「S-19902」に比べて伝導ノイズを3分の1に低減した。


スペクトラム拡散型発振回路を搭載することで、伝導ノイズを従来比3分の1に抑えた 出典:エイブリック(クリックで拡大)

 S-19914/15シリーズの入力電圧範囲は4〜36V。出力電圧範囲は2.5〜12Vで、出力電流は1A。動作温度範囲は−40〜125℃となっている。定格電圧は45Vなので、12Vの鉛バッテリーに直接接続することもできる。

 パッケージには、エイブリック独自の「HSNT-8(2030)」を採用。外形寸法は2.0×3.0×0.5mmと小型なので、小型化するカメラモジュールの要求にも応えやすい。HSNTパッケージはパッケージの側面に端子が出ていることから、実装強度を確保しやすく、外観検査もしやすいことが特長だ。同パッケージの採用により、周辺部品まで含めた実装面積は「同等レベルの競合品に比べると約半分を実現している」(エイブリック)という。なお、実装性をより重視したい場合は、端子がガルウイング形状になっている「HTMSOP-8」パッケージ(サイズは2.9×4.0×0.8mm)を選択することも可能だ。

 S-19914/15シリーズのサンプル単価は220円(税抜き)。既に量産を開始していて、量産規模は年間でまずは500万〜1000万個を計画している。

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