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埋め込み電源配線の構造と材料選択:福田昭のデバイス通信(301) imecが語る3nm以降のCMOS技術(4)(2/2 ページ)
今回は、BPR(Buried Power Rail)の複雑な構造を説明する略語を定義するとともに、金属材料の候補を解説する。
埋め込み電源/接地線には銅金属が使えない
金属配線で一般的な材料は銅(Cu)である。しかし埋め込み電源/接地線(BPR)にはCuは使いづらい。配線層をエッチングする工程が必要となるからだ。そこでBPR構造では、タングステン(W)やルテニウム(Ru)、コバルト(Co)などの金属材料が候補とされている。
埋め込み電源/接地線(BPR)の配線構造における金属材料の比較。左はBPRの材料特性を比較した表。右はM0AとVBPRの材料とVBPRの高さ(深さ)による電気抵抗の違い。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料) (クリックで拡大)
BPRの材料としてWとRuを比較すると、単位長当たりの電気抵抗ではRuが低い。ただしRuにはコンタミネーションの懸念がある。一方、VBPRとM0Aでは、RuとCoの電気抵抗が大幅に低い。RuとCoでは、バリアメタル(窒化チタン(TiN)、電気抵抗が高い)の厚みをWに比べて薄くできるからだ。
BPRの構造図(左)とBPRの電気抵抗(中央)、VBPRの電気抵抗(右)。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料) (クリックで拡大)
そこでBPRの材料にはWを、VBPRとM0Aの材料にはRuを使うことが考えられている。Wはアスペクト比(縦横比)を高く確保することで、電気抵抗を低く抑える。Ruはバリアメタルを薄くできるという特長を生かす。さらに、Ruはバリアメタルを省いたVBPRを実現することで、2nm世代を目指す。
(次回に続く)
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