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フォークシート構造のCMOSロジック製造プロセス福田昭のデバイス通信(306) imecが語る3nm以降のCMOS技術(9)(2/2 ページ)

今回は、フォークシート構造のCMOSロジックを製造するプロセスを解説するとともに、試作したトランジスタの断面を電子顕微鏡と蛍光X線分析で観察した画像を提示する。

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ナノシートの製造プロセスを基本にフォークシート向けに一部を追加/変更

 Na氏の講演によるとフォークシート構造の製造プロセスは、ナノシート構造の製造プロセスを基本とする。フォークシート構造に特有の工程を追加するとともに、一部の工程をフォークシート向けに変更した。

 最も大きな違いは、絶縁膜の壁を形成する工程(ステップ)の追加である。それから内部スペーサーの形成ステップとアクティブ(ソース/ドレイン)層のエピタキシャル成長ステップ、RMG(Replacement Metal Gate)形成ステップをフォークシート構造向けに変更する。その他はナノシート構造のトランジスタ製造工程とあまり変わらない。


フォークシート構造のトランジスタ製造プロセスフロー。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料) (クリックで拡大)

 もう少し具体的に説明すると、始めにナノシートの積層形状パターンを加工し、浅い溝の素子分離層(STI:Shallow Trench Isolation)を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって平坦化する。続いて埋め込み電源/接地配線(BPR:Buried Power Rail)のエッチングと成膜を実施する(このBPRステップはオプション扱い)。次にナノシートの積層構造を露出させ、フォークシート用の垂直な絶縁膜(絶縁膜の壁)を形成する。

 それからゲートのパターン加工、スペーサーの形成、フィンのリセス、内部スペーサー、ソース/ドレインのエピタキシャル成長、層間絶縁膜(ILD)形成とCMP、RMG形成、ゲートのリセスとカット、ゲートのプラグ形成、メタライゼーション、と続く。

 このようなプロセスで試作したフォークシート構造の断面を電子顕微鏡と蛍光X線分光装置で観察した画像を、講演では示していた。絶縁膜の壁によって分離されたトランジスタ対の距離は17nmである。積層したシートの間にゲート絶縁膜とゲート金属膜がきれいに入り込んでいることが分かる。


試作したフォークシート構造の断面を観察した画像。左は透過型電子顕微鏡による観察画像。右はエネルギー分散型蛍光X線分光装置(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometer)によるマッピング画像。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料) (クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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