理想ダイオード機能搭載ロードスイッチIC、トレックス:電流制限、熱監視機能も搭載
トレックス・セミコンダクターは2021年7月5日、理想ダイオード機能搭載ロードスイッチIC「XC8110/XC8111シリーズ」を発表した。逆流防止に使用される一般的なショットキーバリアダイオード(SBD)の約20分の1のV▽▽F▽▽を実現すると同時に、電流制限や熱監視機能も搭載している。
トレックス・セミコンダクターは2021年7月5日、理想ダイオード機能搭載ロードスイッチIC「XC8110/XC8111シリーズ」を発表した。逆流防止に使用される一般的なショットキーバリアダイオード(SBD)の約20分の1の順方向電圧(VF)を実現すると同時に、電流制限や熱監視機能も搭載。OR回路、バックアップ回路の逆流防止用ダイオードからの置き換えを狙い、産業機器などの高信頼性を求める分野をメインターゲットとして展開していく方針だ。
電源にOR回路を搭載する機器の場合には主に逆流防止用ダイオードを使用するが、VFによる熱損失や、VFがバラつくことで回路設計が難しくなるといった課題があった。XC8110/XC8111シリーズでは、同社が培ってきたロードスイッチ製品技術に、理想ダイオード機能を融合させることで、こうした課題を解決し、かつ付加価値の高い製品を開発したとしている。
産業機器、家電、IoT(モノのインターネット)デバイスなど、さまざまな分野でバックアップ電池搭載用途が増えていることも開発の背景として挙げている。同社の説明担当者は、従来のスーパーキャパシターやコイン型一次電池から、固体系の小型二次電池を使ったバックアップ回路の検討が進んでいることに言及し「これらの電池は、まだ電池電圧が低く、SBDを使用するとドロップ分が大きい。ここに本製品をセットで検討してもらうことも期待している」と述べていた。
XC8110/XC8111シリーズはいずれも6V耐圧で、最大出力電流はXC8110が500mA、XC8111が1Aだ。その具体的な特長としてまず挙げられるのは、理想ダイオード特性だ。一般的にダイオードではVFを小さくすると逆電流IRが増え、逆にIRを小さくすると今度はVFが大きくなるというトレードオフの関係があるが、理想ダイオードでは、VFを小さくし、逆電流も減らすことが可能だ。結果、XC8110/XC8111シリーズでは、20mVの低VFと同時に逆バイアスの際の逆流ゼロマイクロアンペアを実現しており、バックアップ電源の劣化を防ぐことができるという。また、逆バイアス時のVINの消費電流もゼロマイクロアンペアと、バックアップ電源の消費ゼロで逆流防止が可能となっている。
XC8110/XC8111シリーズでは、こうした理想ダイオード機能に加えて、繰り返し使える疑似ヒューズとして作用する電流制限機能、150℃で停止し冷めたら自動復帰する熱監視機能も搭載、「低ロス、繰り返し使用可能な制限機能など、ダイオード、ロードスイッチ、ヒューズの機能を併せ持った、使い勝手良く環境負荷にも優しい製品だ」としている。
下図はXC8110/XC8111シリーズを応用した回路例だ。左下図は内部電源と外部電源の両側にXC8110/XC8111シリーズを使用したもので、2つの電源の切り替えを、電圧低下なしでシームレスに実現する。また並列使用も可能であり、より大電流、低オン抵抗への対応も実現できるとしている(右下図)
サイズは3種類で、最小のもの(WLPパッケージ)で0.82×0.82mmになっており、従来の1A品のSBD(3.85×1.70mm)と比べ約10分の1の面積を実現。さらに、例えばカード型など、高さに制限のあるデバイス向けには高さ0.33mm(従来比約4分の1)のUSPパッケージも用意。サンプル価格はいずれも300円だ。
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