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Samsung、米国新工場建設で3つの州と交渉早ければ2024年末にも製造開始

Samsung Electronicsが、米国内に170億米ドル規模の半導体工場を建設すべく、3つの州との間で交渉を進めているという。早ければ2024年末にも製造を開始するとみられる。世界第2位の半導体メーカーである同社は、「米国から十分な助成金を得られない場合は、本社を置いている韓国に新工場を設立する可能性もある」と述べている。

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 Samsung Electronics(以下、Samsung)が、米国内に170億米ドル規模の半導体工場を建設すべく、3つの州との間で交渉を進めているという。早ければ2024年末にも製造を開始するとみられる。世界第2位の半導体メーカーである同社は、「米国から十分な助成金を得られない場合は、本社を置いている韓国に新工場を設立する可能性もある」と述べている。

 Samsungが工場建設を検討しているのは、既に2つの半導体工場を稼働させているテキサス州(オースティンのEUV[極端紫外線]導入工場を含む)と、ニューヨーク州、アリゾナ州の3州だ。同社は、テキサス州当局に申請書を提出するにあたり、「新工場では、当社の新しいファウンドリービジネス向けに最先端のロジックチップを製造する予定だ」と述べている。

 自国内の半導体製造復活を目指す米国にとって、投資計画は非常に重要だ。世界半導体市場では現在、韓国や台湾のメーカーが優勢を維持していることから、米国が世界半導体生産能力全体に占める割合は、約12%にとどまる。Samsungの最大の競合相手であるTSMCの半導体は、衛星からセットトップボックスに至るあらゆる製品で採用されている。

 SamsungとTSMCは、Intelとともに、米国が半導体製造拠点を再構築していく上で重要なプレーヤーと見なされている。TSMCは現在、アリゾナ州フェニックス近郊に120億米ドル規模の工場を建設中で、米政府およびアリゾナ州政府からインセンティブを得られることを期待している。

 Samsungは、「米国工場を建設するかどうかの最終的な判断は、税制上の優遇措置をどの程度得られるかによる」と述べている。

 同社は申請書の中で、「テキサス工場を運営するには税コストが高額なため、提示される価値限界が重要な決め手となる。価値限界の金額が提示されなければ、アリゾナやニューヨーク、韓国においてプロジェクトを実行するだろう」と述べている。

 Samsungが工場建設のための優遇措置を申請したのは、米国半導体製造を国内回帰させるための超党派支援が行われているさなかのことだ。米国上院は、国内の半導体製造への新たな投資を後押しすべく、520億米ドルを割り当てるという法案を可決した。これに対する承認を求められた下院は、半導体研究開発の重要性をさらに強調した、技術投資に関する独自の法案を提示している。

 Samsungが現在、工場建設を検討しているのは、既に2つの工場を稼働させているオースティンの他、フェニックス近郊のグッドイヤー(Goodyear)とクイーンクリーク(Queen Creek)、ニューヨークのジェネシー(Genesee)郡である。

 テキサス州では2021年2月に、全地域で停電が発生し、SamsungとNXP Semiconductors、Infineon Technologiesの工場が運用を停止する事態となった。オースティンの半導体メーカー各社は、工場閉鎖によって数百億米ドルの損失を被り、それが世界的な半導体不足へとつながっていった。アナリストたちは当時、EE Timesのインタビューに対し、「電力網の機能が停止したことにより、オースティンでの生産活動を拡大しようとする半導体メーカー各社の意欲に、影響が及ぶ恐れがある」と指摘していた。

 Samsungは、人材へのアクセス、既存の半導体製造エコシステム、市場へのスピード、官民連携の強さなどを考慮して、4つの候補地を評価中だという。同社が提出した書類によると、このプロジェクトは少なくとも1800人の高収入の雇用を創出することが期待されている。

 世界的な半導体不足により、経済成長におけるチップの重要性に対する認識が高まっている。特にICのサプライチェーンの混乱に伴い、自動車メーカーは生産ラインの休止を余儀なくされた。このような混乱やそれに伴う雇用、経済成長の喪失によって、国内でのチップ工場建設計画を検討する国が増えている。

 例えば、TSMCは2021年7月に、日本に工場を建設することを検討していると発表した。日本も、電子機器のサプライチェーンを確保しようとしている国の1つだ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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