次世代リチウムイオン電池の商業化に向け共同開発へ:東芝、双日、ブラジルCBMM
東芝と双日、ブラジルCBMMは2021年9月24日、ニオブチタン系酸化物(以下、NTO)を用いた次世代リチウムイオン電池の電池の商業化に向けた共同開発契約を締結したと発表した。
東芝と双日、ブラジルCBMMは2021年9月24日、ニオブチタン系酸化物(以下、NTO)を用いた次世代リチウムイオン電池の電池の商業化に向けた共同開発契約を締結したと発表した。CBMMは、ニオブ(Nb)の生産と販売を手掛ける企業。双日は、CBMMの株主の1社で、CBMMの日本市場向けの総代理店を務めている。
3社は2018年6月に、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結して以降、東芝研究開発センターを中心として開発を進めてきた。今回、試作セルの開発を完了し、商業化に向けた量産プロセスの確立と早期の市場投入を目指し、さらなる協業を進めるに至った。EV(電気自動車)向けなど、高エネルギー密度で急速充電が可能な次世代リチウムイオン電池について、2023年度の商業化を目指す。
NTOは、リチウムイオン電池の負極材として一般的に使用される黒鉛に比べ、2倍の理論体積容量密度を持つ材料である。東芝は、負極にチタン酸リチウム(LTO)を用いた二次電池「SCiB」を展開しているが、そのLTOと比べると、NTOの理論堆積容量密度は約3倍となる。NTOは、長寿命や急速充電といったLTOの特長も併せ持つという。
CBMMは、電気トラックの開発と生産を手掛けるVolkswagen Caminhoes e Onibus(フォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブス)と契約し、NTOを用いたリチウムイオン電池の導入に向けた実証を行う。東芝と双日は、Volkswagen Caminhoes e Onibusが設計した新型EVに搭載される、NTOを用いたリチウムイオン電池の特性と車両運行データの収集を行う予定だ。
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