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デンソーテン、軽量で高性能のエッジAI技術を開発エッジ端末でリアルタイムに認識

デンソーテンは、ドライブレコーダーなどのエッジ端末向けに、軽量で高い性能を実現する「エッジAI技術」を開発した。処理能力が0.5TOPS程度のSoC上で、車両や歩行者などをリアルタイムに認識できるなど、高性能GPU向けAIに匹敵する性能が得られるという。

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Darknet53+Yolov3に比べ、1/60以下の演算量、メモリ量は1/32以下

 デンソーテンは2021年9月、ドライブレコーダーなどのエッジ端末向けに、軽量で高い性能を実現する「エッジAI技術」を開発したと発表した。処理能力が0.5TOPS程度のSoC上で、車両や歩行者などをリアルタイムに認識できるなど、高性能GPU向けAIに匹敵する性能が得られるという。

 ディープラーニング(深層学習)による画像認識AI技術では、膨大な教師データを用意し、これをAIモデルに学習させる。この結果をSoCに搭載し実行すれば、物体などをリアルタイムで認識する。この時、エッジ端末では比較的小規模のSoCでも実行できるよう、演算量やメモリ量などを軽量化して実装することが求められる。また、教師データの作成やAIモデルの生成では、工数の削減が大きな課題になっている。


AIモデル開発のプロセスと課題[クリックで拡大] 出所:デンソーテン

 今回、開発したエッジAI技術は、こうした課題を解決した。例えば、車載カメラで撮影した画像を、エッジAI搭載の車載端末で処理して物体を認識。看板や車両の台数などの認識結果を「文字データ」としてクラウドセンターに送信する。

 クラウドセンターでは、認識結果に基づき、本当に必要となる「画像データ」だけを送るよう車載機器に要求する。これにより、データの通信量を最小限に抑え、効率のよいデータ収集が可能になる。


エッジAIを組み込んだ効率よいデータ収集のイメージ[クリックで拡大] 出所:デンソーテン

 エッジAI技術の開発に向けてデンソーテンは、大学や研究機関、企業などが開発した画像認識AIの中から車載機器に適したAIを選定。さらに最適化を行うことでAIモデルの演算量やメモリ量を削減した。PC向けGPUなどで実行するAI「Darknet53+Yolov3」に比べ、演算量は60分の1以下、メモリ量は32分の1以下で、同等の認識性能を実現できるという。

 また、開発したエッジAI技術と組み合わせれば、これまで手作業で行っていた教師データ作成の一部を自動化でき、作業時間を従来に比べ20%も削減できるという。さらに、デンソーテンのAI技術者が保有するノウハウをソフトウェア化しており、学習用パラメーターを特定する工程も自動化した。

 デンソーテンは、作成したAIモデルを自社製品に適用していく。さらに、収集した画像の個人情報に関する保護、車両や歩行者による通行量の把握、防犯カメラでの侵入検知といった用途にもAIモデルを提案していく考えだ。

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