STがエッジAIソフト企業を買収:「STM32」へのAI実装を促進
STMicroelectronicsは2021年5月19日(スイス時間)、エッジAI(人工知能)ソフトウェアを手掛けるフランスのCartesiamを買収すると発表した。
STMicroelectronicsは2021年5月19日(スイス時間)、エッジAI(人工知能)ソフトウェアを手掛けるフランスのCartesiamを買収すると発表した。これにより、Cartesiamが所有するIP(Intellectual Property)ポートフォリオと従業員は、STMicroelectronicsに統合される。今後、各国の規制当局の承認を進めていく。なお、金額など買収条件の詳細は公表していない。
Cartesiamは2016年に設立されたソフトウェア企業で、ArmのCPUコア「Cortex」をベースにしたマイコン向けに、機械学習/推論を行うためのAI開発ツールを専門に手掛けている。主要な製品は「NanoEdge AI Studio」で、これは組み込み設計者向けに作られた、AIライブラリを迅速に開発するためのソフトウェアツールだ。機械学習の専門知識がなくても、さまざまなアプリケーションに機械学習アルゴリズムを直接統合できるライブラリを開発できるという。
STMicroelectronicsは、「Arm Cortex-M」シリーズをベースとする32ビットマイコンファミリー「STM32」を展開しているが、STM32にAIを実装するツールの充実を図ってきた。例えば「STM32Cube.AI」は、学習済みの人工ニューラルネットワーク(ANN)を実装できるツールだ。同社は、NanoEdge AI Studioは、STM32Cube.AIを補完し、より柔軟な機械学習システムの開発を実現できるとしている。
「STM32Cube.AI」の概念図。主要なAIフレームワークを使ってニューラルネットワークの学習を行い、STM32Cube.AIを用いて「STM32」マイコンに実装できるよう、コードを最適化する 出典:STMicroelectronics(クリックで拡大)
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