誕生から50年を迎えたインテルのマイクロプロセッサ:「4004」から始まった歴史(2/2 ページ)
2021年11月15日(米国時間)、世界初の商用マイクロプロセッサであるIntelの「4004」発表から50周年を迎えた。同社の日本法人インテルは同月16日、オンラインで記者説明会を開催し、同社マイクロプロセッサの歴史や最新製品である第12世代「Core」プロセッサファミリーについて説明した。
4004と第12世代Coreプロセッサの比較
最新製品である第12世代Coreプロセッサと4004を比較したのが下図だ。トランジスタ数は4004の2300から数十億になり、各性能で飛躍的な進化を遂げていることが分かる。土岐氏は、「この50年の歴史を振り返ると、Intelはムーアの法則を追いかけてきた。最近は『ムーアの法則もそろそろ物理限界が』という話も出ているが、Intelではこれからも、今まで以上にこの進化を続けていく」と語っていた。
Intelは2025年までの微細化のロードマップも示している。第12世代Coreプロセッサに採用した「Intel 7」(以前は「10nm Enhanced SuperFin」と呼称)の後には、「Intel 4」「Intel 3」「Intel 20A」と続く予定だ。なお、Intel 20Aからは新しいトランジスタ構造として、チャネルをゲートで取り囲むいわゆるGAA(Gate-All-Around)構造を持つFETである「RibbonFET(リボンFET)」と、電源供給のメタルレイヤーを最適化する電力供給技術「PowerVia(パワービア)」を導入する予定だ。
また、パッケージ技術についても独自の2.nD(2.n次元)のパッケージング技術「EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)」から、3Dパッケージング技術「Foveros」「Foveros Omni」「Foveros Direct」へと進化させていく方針だ。
第12世代Coreプロセッサ
同社は今回、第12世代Coreプロセッサの特長や性能ついても紹介した。第12世代Coreプロセッサの最大の特長は、高性能コアであるPerformance Core(P-core)と高効率コアのEfficient Core(E-core)という2つの異なるコアを内蔵する高性能ハイブリッドアーキテクチャの採用および、「スレッドディレクター」の搭載だ。スレッドディレクターは、OSと協調してP-coreまたはE-coreへのスレッドの割り当てを行なうハードウェア機能。Windows 11との組み合わせによって「高性能ハイブリッドアーキテクチャの最適化が可能になる」としている(下図)
第12世代Coreプロセッサは、P-coreにより前世代の第11世代Coreプロセッサと比較しピーク時性能は同じ消費電力で50%向上、前世代の第11世代Coreと同等の性能であればE-coreによって約4分の1の消費電力を実現するという。
同社は2021年11月、第12世代Coreプロセッサとしてデスクトップ向けを製品を発売。この特長として、ゲーミング性能やコンテンツ制作のワークロード性能が飛躍的に向上する点を強調した。
さらに、ゲームのプレイとストリーミング、録画の同時進行やコンテンツ制作時のRAW画像のインポートや編集したビデオのエクスポートの同時進行を行う場合、スレッドディレクターによってさらに高い処理性能を実現できるという。
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