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核融合発電を手掛ける米新興企業、5億ドルを調達核融合炉の建設を加速

核融合からのゼロカーボン電力の生成を手掛ける米スタートアップのHelion Energy(以下、Helion)は、シリーズE資金調達ラウンドで5億米ドルを調達した。一定のマイルストーンを達成した場合、17億米ドルの追加投資の機会が得られるという。

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 核融合からのゼロカーボン電力の生成を手掛ける米スタートアップのHelion Energy(以下、Helion)は、シリーズE資金調達ラウンドで5億米ドルを調達した。一定のマイルストーンを達成した場合、17億米ドルの追加投資の機会が得られるという。

 この資金は、ワシントン州エバレットに建設中の施設に設置される、Helionの第7世代核融合発電機「Polaris」のプロトタイプ開発に使用される。この発電機は、Helionのパルス非点火型核融合技術を使用して、従来のバージョンを上回る性能を実現するという。Polarisは、2024年に正味エネルギーの生成を達成すると予想されており、これは将来の核融合発電所の開発の道を開くマイルストーンとなる可能性がある。


Chris Pihl氏(左)とDavid Kirtley氏

 HelionのCEO(最高経営責任者)のDavid Kirtley氏とCTO(最高技術責任者)のChris Pihl氏は、「今回の投資によって、さらなる開発の障壁となっていた資金調達を行う必要がなくなった。かつてはトランジスタが発明されておらず、高出力磁石やパワーエレクトロニクスもなかったが、過去20年ほどでより高度な技術が誕生したことから、主な障壁は資金調達となっていた。つまり、核融合による正味電力の実証を可及的速やかに行えるようになった」と述べている。

 核融合は、世界的なエネルギー需要の拡大に対応するために、豊富で信頼性の高いエネルギーを提供することを目指す技術である。核融合技術は、気候変動がもたらす課題にも対処する。Helionなどの核融合エネルギーの新興企業は、再生可能エネルギーだけでは増大するエネルギー需要に対応できないと主張している。

 最新バージョンのPolarisのプロトタイプでは、2020年に構築したHelionの第6世代プラットフォーム「Trenta」で達成した進歩をさらに発展させる。Pihl氏によると、Trentaが10分に1回核融合パルスを実行できるのに対し、Polarisはこのレートが大幅に向上し1秒に1回実行できるという。Polarisによる正味電力生成は、2024年になる予定だが、これが実現すれば、初めての核融合発電機となる。Polarisは、重水素-重水素核融合プロセスによるヘリウム3の生成も実証する予定である。

 Trentaは16カ月以上連続して稼働し、1万回以上の高出力核融合パルスを完了した。

 Helionの核融合炉は、従来の原子炉とは異なり、プラズマに点火することなくパルスモードで動作する。この手法によって、標準的なコンテナへの設置を含む、核融合炉の建設と運用が容易になる。この核融合炉は、プラズマ磁場と磁石の相互作用による誘導によって発電する。

 Helion Energyは2021年の夏に、プラズマ温度の世界記録を発表し、民間核融合企業として初めて1億℃の壁を突破した。Trentaは、ほぼ10分に1回、1ミリ秒の長さで強力なプラズマパルスを1万回生成した。Helionは、同社の電磁石は95%のエネルギー効率で動作すると主張している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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