MicronとUMCが特許係争で和解:知財窃盗など一連の訴訟問題に幕
台湾のファウンドリーであるUMC(United Microelectronics Corporation)とMicron Technology(以下、Micron)は2022年11月25日(米国時間)、数年にわたり繰り広げられてきた特許関連の訴訟に対し、和解協定を締結したことを発表した。
台湾のファウンドリーであるUMC(United Microelectronics Corporation)とMicron Technology(以下、Micron)は2022年11月25日(米国時間)、数年にわたり繰り広げられてきた特許関連の訴訟に対し、和解協定を締結したことを発表した。
UMCはMicronに一括で和解金を支払うことで合意し、両社はそれぞれに対する告訴を事実上取り下げる。和解金の額は明らかになっていない。
この和解は、UMCが2018年1月にMicronに対して起こした特許侵害訴訟を含め、両社間の過去のビジネス紛争を解決することを狙ったものである。2018年の訴訟によって、Micronは事実上、DRAMやNAND型フラッシュメモリなど特定の種類の半導体を中国で製造/輸入/販売することができなくなっていた。
この訴訟の数カ月前に、MicronはUCMに対し、UCMと中国Fujian Jinhua Integrated Circuit Corporation(JHICC)が企業秘密を盗み、それを伝達、保持しているとして、知的財産窃盗を申し立てていた。2018年のUCMの訴訟は、この申し立てに対抗したものであった。
米商務省産業安全保障局(Commerce Department’s Bureau of Industry and Security)が2018年10月にJHICCをエンティティリストに入れることを決めたため、JHICCは米国企業とのビジネス活動を行うことができなくなった。
対抗訴訟では次のような事実が明らかにされた。UMCは、Micronの台湾支社に勤務していた従業員3人を雇用。そのうち1人は、JHICC向けにDRAMメモリチップを開発するためにUMCとJHICCの間で行われていた話し合いを主導していた。UMCは、この時点ではまだDRAMの分野には参入していなかった。
Micron台湾支社からUMCに転職した2人が、DRAMの設計に関する機密情報をUMCに伝えていたことも明らかになった。
2020年10月、UMCは申し立ての罪状を認め、JHICCの調査と訴追に協力することと引き換えに6000万米ドルの罰金を支払うことで合意した。
UMCとMicronは2021年11月25日に発表した共同声明の中で「両社がビジネスで相互協力する機会を楽しみにしている」と述べた。
米国EE TimesはMicronにコメントを求めたが、同社は拒否した。
半導体の支配を巡り米国と中国が争っていることを踏まえると、MicronとUMCが今後連携するかどうかは疑問だ。2021年初頭、米国は中国のファウンドリーSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)に対し制裁措置を講じており、それにより両国の緊張はさらに高まった。
米国政府は最近、世界的な半導体不足の危機を解決するため、自国ならびに海外のサプライヤーに対し、半導体供給データを要求したが、それによりさらなる懸念が生じている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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