WSTSの半導体市場規模最新予測を前回予測と比較してみた:電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記
WSTS(世界半導体統計機関)は2021年秋季半導体市場予測を発表しました。そこで、今回予測と前回、6月公表の予測を見比べてみました。
この記事は、2021年12月6日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
※この記事は、「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」をお申し込みになると無料で閲覧できます。
WSTSの半導体市場規模最新予測を前回予測と比較してみた
先週の11月30日、WSTS(世界半導体統計機関)は2021年秋季半導体市場予測を発表しました。
▼2022年の世界半導体市場規模は6000億米ドル超へ
WSTSは、世界の半導体メーカー45社が加盟する半導体市場に関する世界的統計機関で毎年、春と秋の2回、各社が予測を持ち寄って検討する会議を開き、その結果を予測値として発表しています。ただ、昨今は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大の影響で、予測会議を開くことができず、各社が提出した予測の平均値をベースにしてWSTSの予測値として、公表しています。
このようにWSTSの市場予測は年2回発表されます。そのため、春と秋(または、秋と春)の予測値を比較することで、半導体メーカー各社の春時点の見込みと秋時点の見込みのギャップを垣間見ることができ、半導体市場のトレンドを探る1つの手掛かりになるわけです。
11月30日に発表された今回の世界半導体市場規模予測値は、2021年が5530億米ドル、2022年が6015億米ドルで、2021年6月公表の前回予測値からそれぞれ5%上方修正されました。
- 2021年:前回5272億米ドル⇒今回5530億米ドル/修正率+5%(+257億ドル)
- 2022年:前回5734億米ドル⇒今回6015億米ドル/修正率+5%(+281億ドル)
半導体需給のひっ迫が長引いていることから、上方修正されることが予想されました。ただ個人的には来年、2022年の予想値の上方修正幅は2021年の上方修正幅を下回り、もしかすると下方修正もあり得るかもと考えていました。ですが2021年予想とほぼ同じ上方修正幅であり、半導体メーカー各社は春時点よりも2022年を強気に見ているという結果になりました。多くの半導体メーカーは現状の半導体需要が2022年もある程度継続すると見ているわけです。
WSTSでは製品別の市場規模予測も公表しており、製品別でも今回予測と前回予測を見比べてみました。
関連記事
- 2022年の世界半導体市場規模は6000億米ドル超へ
世界半導体市場統計(WSTS)は2021年11月30日、2021年秋季の半導体市場予測を発表した。 - 2021年7〜9月ウエハー出荷面積、過去最高を更新
SEMIは、2021年第3四半期(7〜9月)における半導体向けシリコンウエハーの出荷面積が、四半期ベースで過去最高となる36億4900万平方インチになったと発表した。シリコンウエハーの世界需要は、引き続き高水準で推移するとみられている。 - 「半導体不足」は本当か? クルマ大減産の怪
筆者は4月21日に、『半導体不足は「ジャストインタイム」が生んだ弊害、TSMCが急所を握る自動運転車』を寄稿し、その記事の中で、なぜ車載半導体不足が生じたかを分析した。しかしどうも、現在起きている現象は、それとは異なるように感じる。そこで本稿では、再度、クルマがつくれない原因を半導体の視点から考察する。 - 2021年に最も売上高成長を果たす半導体メーカーはAMDか
IC Insightsは2021年11月、半導体メーカー売上高上位25社の2021年売上高成長率予測を発表した。それによると、2021年に最も2020年比で売上高を伸ばす半導体メーカーは、AMDだという。 - 半導体製造装置、四半期ベースで過去最高額に
SEMIによると、2021年第2四半期(4〜6月)の半導体製造装置(新品)世界総販売額は前期(2021年第1四半期)に比べ5%増え、248億7000万米ドルとなった。四半期の販売額としては過去最高だという。 - GPUの供給の混乱、この先も続く見通し
GPUの供給ネットワークは、2021年第3四半期もジェットコースターのような混乱が続いている。ある業界アナリストは、「ジャストインタイムの在庫管理に過度に依存していることがこの混乱を招いた」と指摘している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.