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NeuroBlade、PIMを搭載した専用アプライアンスを発表イスラエルの新興企業

PIM(Processing-in-Memory)技術への関心は高まり続けている。イスラエル・テルアビブに拠点を置く新興企業NeuroBladeが、データアクセラレーターの出荷を開始したと発表した。同社のCEO(最高経営責任者)であるElad Sity氏は、「メモリ内部の処理機能を統合することにより、データの移動と、それによって生じるボトルネックを軽減することが可能だ」と述べている。

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 PIM(Processing-in-Memory)技術への関心は高まり続けている。イスラエル・テルアビブに拠点を置く新興企業NeuroBladeが、データアクセラレーターの出荷を開始したと発表した。同社のCEO(最高経営責任者)であるElad Sity氏は、「メモリ内部の処理機能を統合することにより、データの移動と、それによって生じるボトルネックを軽減することが可能だ」と述べている。

 NeuroBladeのアクセラレーターには、「データ分析を高速化する」という明確な目標がある。他社製のアクセラレーターは、主にストレージやAI(人工知能)ワークロードの高速化に注力している。

 NeuroBladeは2017年に創設され、現在は100人超の従業員を抱える。最近行われたベンチャー投資では8300万米ドルを獲得し、資金調達の総額は1億1000万米ドルを超えた。今回の投資は、Corner Venturesの主導によって開催され、Intel Capitalをはじめとするさまざまな企業が資金を提供したという。

 Sity氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「NeuroBladeの顧客企業やパートナー各社は現在、当社のデータ分析アクセラレーターを自社システムに統合するための取り組みを進めているところだ」と述べる。

 同氏は、「現在、データ量が指数関数的に増大し、AIワークロードがますます多様化する中、必要な場所にデータを取り込むことの重要性が高まっている。既存のアーキテクチャでは、ストレージやメモリ、CPUの間で絶えずデータを転送する必要があるため、将来的に、データ分析のニーズに対応できるよう拡充することができない。その結果、アプリケーション性能が不十分、応答時間が遅い、といった問題が生じる」と説明する。

 NeuroBladeは今回、PIMを使用して新しいアーキテクチャビルディングブロックを開発した。特に、意思決定アルゴリズムの高速化をサポートすべく、ワークロードを加速させることを目指したという。

 Sity氏は、「PIMは、AIワークロードであろうと汎用コンピューティングであろうと、データ移動を削減することによってデータ分析を進化させる。計算メモリを構築する上で、適切なロジックを選択することと、メモリで処理される特定のオペレーションを選択することは、非常に重要なステップだ。これはユースケースによって決定されるもので、ユースケースごとに独自のソフトウェアが必要である」と述べている。

 「SAPなどのメーカーの分析ソフトウェアは、NeuroBladeの手法を採用することが可能だ。それでも、大小さまざまな潜在ユーザーが、プログラミングメモリの煩わしさを回避したいと考えている。このため当社は、統合が容易なプラットフォームを開発するのではなく、当社製アクセラレーターのユースケースの対象を限定した。論理的な選択肢として、エンタープライズデータセンター全体で稼働する大規模なデータベースでデータ分析を行うことを選んだ」(Sity氏)

 統合の簡素化は、PCI Express(PCIe)を使用して、データ集約型アプリケーションで採用されているCPUを接続、高速化することによって実現した。NeuroBladeの「XRAM」は、組み込み処理ロジックやさまざまな処理機能をメモリバンクの近くに統合したDRAMで、高い帯域幅で大規模な並列処理を行うことが可能だ。


NeuroBladeは、「XRAM PIM」技術を、導入しやすい形でパッケージ化した 出所:NeuroBlade

 Sity氏によると、NeuroBladeは「3D XPoint」など他のメモリも検討したが、まだ成熟していないと結論付けたという。一方、NAND型フラッシュメモリは高密度ではスピードは十分ではない。「DRAMが正しい選択だった」と同氏は述べる。

 PIMのアプローチは目新しいものではないが、その複雑さが導入の障壁となっていた。Samsung Electronicsは既に、HBMにプロセッサを組み込んだHBM-PIMを発表していて、そのHBM-PIMを商用アクセラレーターシステムに統合することに成功している。同社はSDK(ソフトウェア開発キット)も提供している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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