Edge Impulseが3400万米ドルを調達、評価額が3倍に:組み込みAIプラットフォーム開発
組み込みAI(人工知能)の開発者向けプラットフォームベンダーであるEdge Impulseは、シリーズBの資金調達ラウンドで3400万米ドルを調達し、同社の評価額は3倍の2億3400万米ドルに上がった。同社は、7カ月前に1500万米ドルのシリーズAラウンドを終了しており、これまでに調達したベンチャー資金は5400万米ドルに上る。
組み込みAI(人工知能)の開発者向けプラットフォームベンダーであるEdge Impulseは、シリーズBの資金調達ラウンドで3400万米ドルを調達し、同社の評価額は3倍の2億3400万米ドルに上がった。同社は、7カ月前に1500万米ドルのシリーズAラウンドを終了しており、これまでに調達したベンチャー資金は5400万米ドルに上る。
同社は、2022年末までに従業員を80人に倍増して、顧客をサポートするソリューションエンジニアリングチームの拡大に注力するために今回の調達した資金を充てるとしている。また、同期間中に、開発者エコシステムを10万人のユーザーに拡大する計画だという。
Edge Impulseのツールチェーンは、組み込みハードウェア上で動作する機械学習(ML)プロジェクトを対象とし、MLアルゴリズムの開発やトレーニング、独自のデータセットの管理など、あらゆる処理を行う。互換性のあるターゲットハードウェアには、NVIDIAのGPUや、Silicon LabsやSTMicroelectronics、Microchip TechnologyのMCU、Eta Computeの専用ハードウェアなどがある。さらに、Texas InstrumentsとSyntiant、Synapticsのハードウェアも最近追加された。
Edge Impulseの共同創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるZach Shelby氏は、インタビューの中で、「当社は、エッジコンピューティングや機械学習に取り組む開発者やエンジニアが直面する問題を解決したいと考えた。どうすれば、そうした問題を克服できるのだろうか。どうすれば、MLを活用するためのこの取り組みを成功させることができるのか。どうすれば、業界の実際の仕事で当社のプラットフォームを確実に展開できるのだろうか」と語っていた。
2019年の発売以来、約3万人の開発者がEdge Impulseのプラットフォームを使用して5万5000件以上の組み込み機械学習プロジェクトに取り組んできた(2021年11月だけで9000件以上のプロジェクトが加わった)。2020年に同社のプラットフォームを利用する開発者は4倍に増え、OuraやPolycom、Advantech、NASAなどの顧客からの売上高も3倍に増加したという。
Edge ImpulseのSaaS(Software-as-a-Service)ビジネスモデルには、個人や趣味で開発している人向けの無料利用枠がある。エンタープライズレベルのサブスクリプションには、プロジェクトのコラボレーションやより大きなデータセットの処理、モデルのバージョン管理、セキュリティなどの機能が含まれる。典型的なプロジェクトとして、産業や物流、健康関連などの幅広いユースケースを想定している。
同プラットフォームは新機能として、アプリケーションテストを搭載する予定で、これによってエンジニアは精度の数値の他に、MLモデルの長所と短所を評価できるようになる。例えば、あるモデルが特定の種類のイベントを見落としたり、特定の状況で誤検出したりする場合、モデルの動作を調整するのに後処理パラメータが役立つ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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