インテル、ノートPC向けGPUファミリーを発表:Arcファミリー「A-シリーズ」
インテルは、ノートPCに向けたGPUファミリー「Arc A-シリーズ」を発表した。同社として初めてとなる外付けGPU製品。デスクトップPCやワークステーション向けGPU製品も2022年内に発売する予定である。
2022年内にはデスクトップPCやワークステーション向けも発売
インテルは2022年3月31日、ノートPCに向けたGPUファミリー「Arc A-シリーズ」を発表した。同社として初めてとなる外付けGPU製品。デスクトップPCやワークステーション向けGPU製品も2022年内に発売する予定である。
GPUは、グラフィックス処理などを高速に実行できることから、ゲーム用途のPCなどで必須となっている。インテルはCPUと統合したグラフィックスプロセッサで強みを持つ。近年は、GPUがゲームなどのグラフィックス処理だけでなく、AI(人工知能)やブロックチェーンといった領域にも広く活用されるようになった。新たな用途が拡大する中で、インテルもPCプラットフォームでの強みを生かし、外付けGPU製品への取り組みを強化することにした。
今回発表したArc A-シリーズは、1080pで楽しめるゲーミングや高度なコンテンツ制作を可能にするノートPC向けの「Arc3」(A350MとA370M)、最先端のコンテンツ制作能力に加え、グラフィックスと演算性能を向上したノートPC向けの「Arc5」(A550M)および、「Arc7」(A730MとA770M)である。
Arc A-シリーズは、独自のXe HPGマイクロアーキテクチャを採用した。Xe HPGには、「Xeコア」や「Xeメディアエンジン」「Xeディスプレイエンジン」「グラフィックスパイプライン」などが実装されている。
Xeコアは、ベクターエンジン(XVE)を16個、従来のGPUベクトルユニットに比べ、AI推論で最大16倍の演算能力を備えたXMX(Xe Matrix Extensions) AIエンジンを16個、さらに192kバイトのL1キャッシュなどを内蔵している。XMX AIエンジンを活用し、高解像度画像のレンダリングに極めて近い画像を合成できるアップスケーリング技術「Xe Super Sampling(XeSS)」も、2022年夏より導入していく予定である。
Xeメディアエンジンは、エンコードとデコードの両方に対応するフルAV1ハードウェア・アクセラレーションを業界で初めて搭載した。ソフトウェアによるエンコードに比べ50倍も高速に処理することができるという。また、Xeディスプレイエンジンは、DisplayPort 2.0 UHBR10に対応。グラフィックスパイプラインは、レイトレーシング用ハードウェア・アクセラレーションに対応するDirectX 12 Ultimateに最適化している。
さらに今回、「Deep Link」技術を採用した。この機能により、ArcグラフィックスとCPUおよび、統合グラフィックスがシームレスに連動し、ゲーミングなどの用途でシステム性能を向上させることが可能となる。具体的には、動的な電源共有により、プラットフォーム全体に電力を適切配分することで、パフォーマンスを最大30%向上させることができる。また、ハイパーエンコードやハイパーコンピューティングの機能により、処理性能をそれぞれ60%および、24%も向上できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 誕生から50年を迎えたインテルのマイクロプロセッサ
2021年11月15日(米国時間)、世界初の商用マイクロプロセッサであるIntelの「4004」発表から50周年を迎えた。同社の日本法人インテルは同月16日、オンラインで記者説明会を開催し、同社マイクロプロセッサの歴史や最新製品である第12世代「Core」プロセッサファミリーについて説明した。 - 米国内でのメガファブ建設に向け突き進むIntel
米国の半導体業界は、国内にファウンドリーを建設する上で、特に税制上のさまざまな優遇措置を提供することが可能な半導体法案の制定を待ち望んでいる。こうした中でIntelは、米国の半導体製造の復活を目指すべく、国内にメガファブを建設するための交渉を進めている最中だ。 - Intelがプロセスの名称を変更、「nm」から脱却へ
Intelは2021年7月26日(米国時間)、半導体プロセスとパッケージング技術の最新情報を説明するウェブキャスト「Intel Accelerated」を開催した。これを受けて、同社の日本法人インテルは7月28日に、Intel Acceleratedの内容を日本のメディア向けに説明するオンライン説明会を実施。インテル 執行役員常務 技術本部本部長である土岐 英秋氏が説明した。 - Intelの第3世代「Xeon SP」、AI性能や暗号化を強化
Intelは2021年4月6日、10nmプロセスを採用した第3世代の「Intel Xeon スケーラブル・プロセッサ(SP)」(開発コード名:Ice Lake)を発表した。1〜2ソケット向けの製品で、CPUコアには新しい世代の「Sunny Cove」を採用し、最大40コアを搭載する。前世代品と比較して、性能が46%向上しているとする。 - Intel、TSMCを活用しつつ「リーダーシップを取り戻す」
Intelが、かつてのライバルであったTSMCへの依存度を高めている。売上高を増加させ、最終的に製造規模と半導体プロセス技術分野において世界リーダーとしての優位性を取り戻していきたい考えのようだ。 - Intel、22年後半にカスタムブロックチェーンアクセラレーターを出荷
Intelは「カスタムコンピューティンググループ」と呼ぶ新しいアクセラレータグループを創設したことと、同グループが設計したカスタムブロックチェーンアクセラレーターを2022年後半に出荷する予定であることを発表した。