SamsungとWD、次世代ストレージ技術標準化に向け協業:Zoned StorageなどD2PF技術で(2/2 ページ)
ソリッドステートストレージ大手のSamsung Electronics(以下、Samsung)とWestern Digital(以下、WD)が、複数のストレージ技術規格の統一に向けて協業すると明らかにした。まずは、Zoned Storageソリューションから着手するようだ。
Zone Storageデバイスを中心に展開
パートナー各社による最初のイニシアチブは、ZNS SSDやSMR(Shingled Magnetic Recording)HDDなどをはじめとする、Zoned Storageデバイスを中心に展開されている。ZNSインタフェースは、NVMe(Non-Volatile Memory Express)によって導入された標準規格だ。シーケンシャルライトに必要とされるNVMeネームスペースをゾーンに分割することで、ハイパースケール組織やオールフラッシュアレイメーカー、大手ストレージシステムメーカーなどが、シーケンシャルライトワークロード向けに最適化されたストレージデバイスを、最大限に活用できるようになるという。ZNSはZoned Blockインタフェースとして機能し、SSDと、SMR HDDで既に使われているホストモデルとを連携させる。SMR HDDは、Zoned Block CommandやZoned ATA Command(ZAC)を採用している。
WDの戦略的イニシアチブ担当バイスプレジデントを務めるWim De Wispelaere氏は、「当社はこれまで長年にわたり、HDDでSMRを採用してきた。ストレージ密度を高め、ドライブ当たりのストレージ容量を全体的に増加させることが可能だ。既存のHDDは、垂直磁気記録方式を採用してデータを記録し、相互に平行でオーバーラップしていない磁気トラックを書き込むが、それに対してSMRは、先に書き込まれた磁気トラックの一部とオーバーラップする新しいトラックを書き込む。このため、トラック密度をさらに高めることが可能だ」と述べる。
De Wispelaere氏は、「その一方でフラッシュ側は、ZNSの導入が進んでいる。しかし、オーバープロビジョニングを排除してフラッシュSSDの高耐久性をサポートするため、分散型/スケールアウトストレージを早期導入しているという初期の段階にある。またトランザクションデータベースも、低レイテンシによるメリットを享受している」と述べている。
また、De Wispelaere氏は、「NVMeによる、ZNSに向けた基本的な標準規格があっても、それをどのようにデバイスに実装するのかという柔軟性に関しては、まだ多くの余地が残されている。もし顧客企業が今、当社製デバイスとSamsung製デバイスのテストを行った場合、ユーザーエクスペリエンスはそれぞれ異なるだろう。われわれがここで協業することの最も重要な点は、顧客企業が、一貫性のあるユーザーエクスペリエンスを確実に期待できるようになるということだ」とも語った。
「顧客企業は、同じ環境下でさまざまな種類のメーカーを採用できるよう、ドライブを調達する際の選択肢を残しておきたいと考えている。どの企業も、身動きの取れない状態に固定されたくないのだ」(De Wispelaere氏)
また同氏は、「データ配置にも高い関心が寄せられている。Zoned Storageのデータ配置は、最近導入されて急速に成熟化が進んでいるCompute Express Link(CXL)プロトコルの価値提案とは異なる。CXLは、最も適したストレージ/メモリデバイスを使用して、データを処理する場所に近づける方向に焦点を当てている」と述べる。
「Zoned Storageのためのデータ配置は、ソフトウェアスタックで垂直最適化を行うということになる。Zoned Storageを超え、より広範なファブリックを視野に入れた協業の目標は、統合を進めるとともに、パートナーがWDのデバイスを効率的に使用し、その環境で最高のコストメリットを得られるようなコントロールを提供することだ」(De Wispelaere氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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