有機エレクトロニクス関連、医療分野などに注目:富士キメラ総研が世界市場を調査
富士キメラ総研は、エレクトロニクス産業で需要が高まる「有機エレクトロニクス関連」の世界市場を調査した。これによると、有機エレクトロニクスデバイスの市場規模は、2035年に7兆4525億円に達すると予測した。2020年に比べ2.2倍の規模となる。
2035年に7兆4525億円規模へ、2020年比2.2倍
富士キメラ総研は2022年4月、エレクトロニクス産業で需要が高まる「有機エレクトロニクス関連」の世界市場を調査した。これによると、有機エレクトロニクスデバイスの市場規模は、2035年に7兆4525億円に達すると予測した。2020年に比べ2.2倍の規模となる。
今回の調査では、「有機エレクトロニクスデバイス」22品目、「機能性有機材料」6品目、「プリンテッドエレクトロニクス関連材料」6品目、「基板材料」4品目および、「印刷装置」3品目の、合計41品目を対象とした。調査期間は2021年10月〜2022年2月。
有機エレクトロニクスデバイスの世界市場(有機TFT、温度センサーは除く)は、スマートフォン向け中小型AMOLEDや大型AMOLED、グルコースセンサーなどが需要をけん引したことで、2021年は4兆3516億円の見込みである。
今後、性能やコストの問題などが解決され、需要が本格化すると予想したのが、スマートフォンの指紋センサーなどに向けた「有機フォトダイオード」をはじめ、「ペロブスカイト太陽電池」「圧力センサーシート」「心電位・筋電位センサー」「ガス・環境センサー」などである。これらの需要が増加することによって、2035年の市場規模を7兆4525億円と予測した。
有機エレクトロニクスデバイスにおけるフレキシブル/プリンテッド採用率を調べた。中小型AMOLEDでフレキシブル採用率が高い。今後もその多くがフレキシブル製品となり、フレキシブル採用率は2021年見込みの66.1%に対し、2035年は72.6%に上昇する見通し。
一方、プリンテッド採用率は2021年見込みの12.5%に対し、2035年は28.8%と予測した。採用率が低いのは、AMOLEDの多くが真空蒸着を採用しているためだ。2025年には、プリンテッド採用率が100%の有機フォトダイオードやペロブスカイト太陽電池などが伸びるものの、全体の採用率は緩やかな上昇にとどまると予測されている。
注目分野向けデバイスについては、2030年までの市場規模を予測した。「医療・ヘルスケア分野」向けは、2021年見込みの6369億円に対し、2030年は8224億円と予測した。現状はグルコースセンサーや中小型AMOLEDが市場をけん引しているが、今後はX線CT装置用有機フォトダイオード、心疾患リハビリ用乳酸センサー、圧力センサーシートなどの需要増に期待する。
「FA・インフラ分野」向けは、「圧力センサーシート」「ガス・環境センサー」「RFID」などが市場をけん引する。今後は有機フォトダイオードやRFID、ガス・環境センサーの伸びが期待できるという。「流通・小売分野」向けは、電子ペーパーやRFID、ガス・環境センサーなどの規模が大きい。引き続き電子ペーパーやRFIDの伸びに期待する。
「自動車分野」向けは、ガス・環境センサーや中小型AMOLEDの規模が大きい。今後は、車載カメラ向け有機フォトダイオードや有機CMOSイメージセンサー、ソフトアクチュエーター、圧力センサーシートなどの需要増加にも注目している。
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