5G対応スマートフォン、2030年に14億台規模へ:富士キメラ総研が世界市場を調査
富士キメラ総研は、5G(第5世代移動通信)関連の世界市場を調査し、その結果を発表した。5G対応スマートフォン市場は、2021年予測の5億3000万台に対し、2030年には14億台規模に達する見通しだ。
基地局市場は2023年をピークに減少、RRH・RU市場は拡大
富士キメラ総研は2021年5月、5G(第5世代移動通信)関連の世界市場を調査し、その結果を発表した。基地局の世界市場は2021年予測の196万局に対し、2030年は127万局に減少する。一方、RRH・RU(無線送受信装置)の市場規模は2030年に4兆8983億円と予測、2019年に比べ38.4倍の規模となる。5G対応スマートフォン市場は、2030年に14億台と予測した。
今回の市場調査は、5G関連の「基地局」や「エッジ機器」といったアプリケーションと、これらに用いられるデバイスおよび材料が対象で、2030年までの市場予測を行った。調査期間は2020年10月〜2021年2月。
2020年から先進国の主要キャリアが5Gサービスを開始しており、関連需要は堅調に拡大している。特に最近は、C-RAN基地局の増加が目立つという。一方で、出力100W以上のD-RANマクロセル基地局や、出力100W未満のD-RANスモールセル基地局の市場は、中長期的に縮小あるいは消滅する見通しだ。基地局合計で見ても、1局当たりのカバーエリアが広がり、5G向け投資も一段落することから、今後は2023年をピークに基地局の市場は減少すると予測した。
長期的に見ると基地局市場は縮小傾向にあるが、C-RAN基地局の増加に伴い、RRH・RU市場が拡大すると予測した。2021年の4290億円に対し、2030年は4兆8983億円を見込む。RRH・RUとは、BBU・DU(ベースバンド処理装置)から受け取った信号を変換し、RFフロントエンドのパワーアンプで増幅する装置である。
この他、「基地局向けアンテナ」やRRH・RUに搭載される「RFフロントエンド」の市場に注目する。基地局向けアンテナ市場は、アクティブアンテナの増加などにより、2021年予測の9590億円に対し、2030年は2兆470億円の規模を見込む。RFフロントエンド市場も同様に、Massive MIMOアンテナの需要増加に伴い、2021年予測の6000億円に対し、2030年は3兆2230億円を見込む。
5G対応スマートフォン市場についても調査した。2021年は5億3000万台と予測した。これはスマートフォン全体の約40%を占める。これが2030年には14億台に増える見通しだ。この結果、全体の95%以上が5G対応モデルとなる。
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